4K試験放送は結局どんな内容に？ ー 詳細や今後の戦略をNexTV-Fに聞く

■CATV・IP放送での4Kとの関係性

NexTV-Fに参加するジュピターテレコム（J:COM）は、ケーブルネットワーク経由での4K試験放送を6月2日より開始することを発表した（関連ニュース）。フォーラムには試験放送をCS衛星放送だけでなく、ケーブルやIP放送の事業者とも連携を取りながら広めていくべきという考えがあるという。

「ジュピターテレコム様から発表のあった通り、ケーブルサービスを経由してChannel 4Kが見られる環境も整っていきます。IP放送は必要な帯域幅を確保するために、もう少し準備の時間がかかるとみています。当面はCS衛星放送と同時再放送でケーブルに送信するかたちになると思います。ケーブル・IP事業者様は衛星の再放送ではなく、オンライン経由で衛星とケーブル・IPにパラレルで同時出力される放送形態を希望されていますが、そこはフォーラムの中で今後検討を進めていくべき課題だと捉えています」（元橋氏）

元橋氏はCS衛星放送だけで4Kの普及を図るのは難しいだろうと語る。だからこそ、ケーブル・IP事業者によるVODサービスと役割分担・連携をすることで、いつでも見たい番組が見られる4K VODのサービスのメリットも同時に推進していく必要性についても次のように指摘する。

「VODではソフトウェアエンコードの技術を用いて、低ビットレートながら高画質にチューニングした映像を用意してから配信できる良さがあります。リアルタイムで視聴するライブ放送と、VOD配信それぞれのメリットを活かしながら、あるいは同時に利用できる環境も整えつつ相乗効果で4K放送の普及を促進できると期待しています」


■ワールドカップの4K放送は実施されるのか

ところでサッカーのワールドカップ・ブラジル大会の試合を4Kで見られる機会はあるのだろうか。現在、FIFAとソニーがワールドカップの決勝戦/準々決勝/決勝トーナメント1回戦の3試合について、4K映像オフィシャル・フィルムを共同制作することが決定しているが、このコンテンツが国内ではどのようなかたちで一般視聴者の目に触れることになるのかについては、今のところ明らかにされていない。

Channel 4Kでの放送の有無についても、本稿掲載時点では未定だ。大型店でのパブリックビューイングなども含めてぜひ4K映像でワールドカップが見られる機会が訪れることも期待したい。

日本でいち早く4K試験放送をスタートさせることがChannel 4Kが帯びる、一つの大きなミッションだ。だが、より大切なことは、一度スタートさせた4K放送を着実に育てていくことだと元橋氏は説く。

「ワールドカップについて、我々から申し上げられることは何もありません。ただ、ワールドカップは4Kの普及を促進するひとつの大きなきっかけにはなるかもしれませんが、それだけで視聴者の方々に継続してご満足いただけるとは考えていません。今秋以降に対応製品のラインナップがどれくらい充実していくのか。そして、製品を購入した方々が継続的に楽しめる4K番組を全体的に充実させていくことが、私たちにとってより大きな使命であると捉えています」