野村ケンジが聴く
【レビュー】JVC初のポタアン「SU-AX7」をAK240とiPhoneで音質チェック
また、ボディカラーにシックなダークブラウンを採用していたり、同時にアルミ削り出しのボリュームダイヤルには適度な重さを持たせるなど、随所に上質さ、上品さも感じられる。こういった作りの細やかさは、日本のオーディオメーカーたるJVCならではのこだわりといえる。無骨なデザインになりがちなポタアンのなかにあって、ひと味違う存在だ。
もちろん、機能面でもJVCらしさは随所に表れている。なかでも最大の注目といえば、「New K2テクノロジー」の搭載だろう。
JVCとビクタースタジオとの協力によって生み出されたこちらの技術は、搭載アナログ信号からデジタル信号への変換時や、信号圧縮処理の際に欠落する音楽情報を再育成するというもの。一般的な音質補完技術とは、思想も効果のほども異なっているのは皆さんも(ミニコンポやハイレゾ音源などで)ご承知の通りかと思う。その機能が、ポタアンにも採用されているのだ。こういった独自の“良音質化”システムが搭載されているのは、「SU-AX7」ならではの魅力といえるだろう。
■ボディにも音質向上のノウハウを多数投入
いっぽうで、当然のようにボディにも音質向上のノウハウを数々投入している。まず、軽量さと高剛性を両立した非磁性ステンレス製の内部シャーシを採用し、こちらに基盤を固定するフローティング構造を採用。これによって、外部の振動による影響をシャットアウト、設置環境による音質変化を排除している。
そして同時に、この内部シャーシには“fホール”と呼ばれる、まさにf字型の穴が空けられている。ヴァイオリンなどのボディに空けられているホールを模したこの“fホール”、音響的には豊かで自然な響きを作り出すために用いられるものだが、音響機器の内部シャーシなどに活用するとボディの共振を抑えることができ、音質向上の一躍を担ってくれるのだという。
そう、古くからのポータブルオーディオファンにとっては憧れの存在だった、ケンウッド製ポータプルオーディオプレーヤーの技術がここで復活してきたのだ。しかも、直線部分のいっさいない正真正銘のfホールデザインを、コンピュータを使った振動解析によって作り上げているのだという。音質向上とともに、既存のファンを大切にしてくれる“心遣い”もうれしいところだ。
ちなみに、入力はアナログのステレオミニ端子のほか、光デジタル入力、iPodデジタル接続用のUSB A端子、充電用を兼ねたUSB MicroB端子を用意。iPhoneやiPadなどのiOSデバイスが高品位なサウンドで再生できるだけでなく、ハイレゾ対応機「AK120」などの光デジタル出力を持つポータブルプレーヤーやパソコンなど、幅広い機器に活用することもできる。また、USB-DAC機能としては、最高192kHz/24bitまでのリニアPCM音源に対応しているので、スペック的には十分以上といえるレベルだ。
■試聴 − AK240とiPhoneそれぞれで実力を確認
さて、実際のサウンドはいかがなものだろう。デジタル部、アナログ部ともに、徹底的に音質追及を行ったというだけあって、アナログ入力であってもかなりのクオリティを見せてくれた。超弩級のハイレゾ対応プレーヤー、iriver「AK240」を繋いでも、「あった方が良い」と思わせる効果をしっかりと発揮してくれるのだ。
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