<山本敦のAV進化論>第12回
【レビュー】ソニーが満を持して投入、ウェアラブル端末「SmartBand SWR10」の完成度は?
「ライフブックマーク」はその名の通り、“いいね”と感じた出来事の瞬間をメモに取りながら記録していける機能。本体のボタンを2度押してブックマーク後、スマートフォンからコメントを入れる。Lifelogのアクティビティ記録にブックマークが一覧になるので、後からそれぞれの出来事を時系列に振り返ったり、コメントを追加することもできる。
機能としては面白いのだが、ボタンを押してブックマークした瞬間のリアクションが若干薄いのが気になった。ボタンを押すと本体に設けられたLEDランプが点灯するのだが、それを毎度じっと目視で確認するのも何だかスピード感に欠ける。例えば本体がバイブしたりなど、もう少し強めのリアクションが欲しいと感じた。
Lifelogアプリの側にもブックマークアイコンが設けられているのだが、コメントを書き足したい場合はLifelogアプリを見ながらスマホで文字を入力することになり、どうしてもアプリのアイコンを中心にブックマークする機会が増える。SmartBand側でボタンを押してブックマークし、”何に感動したのか”をジェスチャー操作などを使って、ある程度の定型フォーマットのなかから、取りあえず入力しておけたら、さらによかったと思う。
個別のアクティビティを選択すると、睡眠時間やウォーキング/ランニングなど、アクティビティごとに「日/週/月/年」単位での活動履歴をチェックしたり、到達目標の設定が行える。例えば睡眠時間は眠りの深い時間と浅い時間を色分けしたグラフで見られたり、音楽再生の履歴は再生時間だけでなくカバーアートも表示されるので、自分の音楽ライフを楽しく振り返ることもできそうだ。
記録できる情報には、例えばスマホで遊んだゲームの履歴や、閲覧した電子書籍の履歴などのメニューも設けられているのだが、そもそもこれらの用途にスマホを使わない人もいるだろう。代わりにTwitterやFacebookなど外部アプリを登録し、それぞれの利用時間などがモニターできるようになれば気が利いていると思う。
「Xperiaメディアコントロール」機能をチェックしてみよう。例えばメディアコントローラー機能で音楽を再生する場合、ボタンを1度押してから、SmartBandの本体正面側のフラットな部分を指で“トン”とタップすればコマンドが発動する。1度のタップで「再生・停止」、2度で「早送り」、3度で「巻き戻し」と、基本的にはシングルボタンタイプのリモコン付イヤホンの操作と同じだ。タップ操作のレスポンスは悪くないし、2度・3度タップ間の誤作動もなかった。欲を言えば、将来的にアルバムスキップもSmartBandからできるようになると嬉しい。
カメラの場合は、同じく本体のボタンを押して1度タップすると静止画撮影、2度タップすると動画撮影になる。リモコンの用途としてはスマートフォンをテーブルの上などに置いて“自撮り”する時に便利かもしれない。SmartBandでのリモート操作時にはフラッシュが常時オンになる。
メディアコントローラーについてはWALKMANアプリだけでなく、Powerampなどサードパーティーの音楽プレーヤーアプリも利用できた。またムービーアプリで動画を再生する時にも使える。カメラ機能についても、本体プリインのアプリだけでなく他社製アプリにも連動するものがあるようだ。
■シンプルで洗練された使い心地だが、「ずっと身につけていたくなる」仕掛けも欲しい
SmartBandは非常にスタイリッシュなインターフェースとスムーズな操作性を実現したスマートウェアだ。美しいUILifelogアプリをはじめ、洗練された使い心地と多彩な機能を実現しているが、反面、ユーザーにSmartBandを「ずっと身につけていたい」と思わせるためには、本機を使うための動機がもっと明確に見えてくる仕掛けも欲しい。
到達目標を設定して日々のアクティビティを記録していった先に、何かしらのターニングポイントが見えればより使い応えがありそうだ。例えばSmartBandが情報をプッシュしてきて、「あなたぐらいの体重の人が、これだけのカロリーを毎日消費すればこれぐらい脂肪が燃焼できて、突発性成人病のリスクが何%回避できる」など、ユーザーに健康のバロメーターやトレーニングプログラムを提示してくれれば、よい道標になる。「納豆を毎日食べ続けると血圧を下げるのに有効だ」的な、健康に役立つ情報やニュースをプッシュしてくれてもよいと思う。