マランツのUSB-DAC内蔵プリメインアンプ「PM7005」をレビュー
■スピード感や構築感を前面に出すUSB入力のサウンド
それでは、そのサウンドを実際に聴いてみよう。スピーカーシステムには、ELACのフロア型スピーカー「FS 247 BE」を用いた。
まずはUSB接続でハイレゾを含めて様々な曲を試聴。印象の要点をまとめると、やや硬質に引き締まった低域のおかげで音がだぶつかず、中低域楽器の抜けが良い。さらに薄刃に描き出すシャープな高域によって、高域楽器のキレも良好だ。FS247 BEとの組み合わせでは、音の肉厚さといった要素はやや不足を感じたが、PM7005のフロントパネルのベースとトレブルのつまみで調整すれば問題ない。イコライザーの対応力も良好だ。
上原ひろみの『ALIVE』は、ピアノトリオのパワフルかつ複雑で繊細な曲と演奏が光る一枚。やはり、リズムの要素のうちヘヴィさは強調せず、キレの良い明快さによってそのスピード感や構築感の方をより前面に表現する。エレクトリックベースはドンと沈む感じよりは、ゴリッとアタックする感じの方が強い。ドラムスはタム回しの太さ重さは控えめだが、しかし硬めに弾む抜けの良さで、もたつきのないスピーディーな手さばきを伝えてくる。スネアも同じくスタンと硬めの抜けっぷりが心地よい。ハイハットやライドのシンバルの細かな刻みは、もちろん薄刃でキレキレだ。
「軽いかな」「鋭すぎるかな」と感じる場合も、効き具合の好いトーンコントロールである程度は対応できる。「重み」「鋭さ」といった感覚的なところと一致する帯域設定、と大きすぎず小さすぎずの実用的な調整範囲で使いやすい。