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各ヘッドホンとの相性からUSB-DACの音質までチェック

【レビュー】野村ケンジがデノン初のポタアン「DA-10」の音質最終版を徹底試聴

公開日 2014/09/19 10:00 野村ケンジ
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■カスタムIMEを中心にイヤホンとの組み合わせもチェック

イヤホンについてはカスタムIEMを中心に試聴してみたのだが、解像度とノイズの少なさにおいて高いアドバンテージを感じた。JH AUDIO「Roxanne」(関連ニュース)は、BAドライバー12基搭載というシステム構成のためか、(ユニバーサルタイプも含め)駆動力をしっかり持ちつつも、制動の利いた良質なパワーアンプを組み合わせる必要がある。そうしないと、ただ単に音数の多い、猥雑な音となってしまう傾向があるのだ。そんなキャラクターを持つ「Roxanne」を、「DA-10」は軽やかに鳴らしつつ、抑制の利いたS/N感の高いサウンドを引き出してくれる。

おかげでオーケストラの演奏などは、楽器ひとつひとつの演奏が細やかなニュアンスまで伝わってくると同時に、ホールの大きさ、響きの特徴までも感じられる。こういったきめ細やかな抑揚表現、空間表現は、ポータブルオーディオの世界ではなかなか出会うことがない。「Advanced AL32 Processing」ならではの恩恵も多分にあるのだろう。いずれにしろ「Roxanne」の実力を充分に引き出してくれる、マッチングの良い組み合わせといえる。

JH AUDIO「Roxanne」と組み合わせたところ

続いてWestone「ES50」も試聴した。本機との組み合わせでは、音色的な素直さが魅力。チェロのボーイングからピアノまで、リアリティの高い演奏を楽しませてくれる。どちらかといえば美音系なのだけど、芯がしっかりしていて、かつ付帯音がほとんどないイメージだ。ちなみに、この「ES50」はユニバーサル・モデルのカナル型イヤホン「UM Pro50」と音色的なキャラクターが似通っていて、ポタアンに求める実力や相性の良さもほぼ近似値となっている(異なるのはカスタムIEMならではの絶対的な遮音性と音の伸びやかさの2つのみ)ので、そちらのオーナーも是非とも参考にして欲しい。

■スピーカーと組み合わせて据え置きDACとしての能力を確認

続いて、プレーヤーはMacBookAirのまま、出力を固定にして使ってプリメインアンプ&スピーカーシステムと接続。USB-DACとしての実力を試してみた。なお、今回の試聴ではプリメインアンプにAura「Vita」を、スピーカーにELAC「BS312」を使用している。

USB-DACとしての音質も検証

結論からいえば、こちらのサウンドもかなりのレベルだった。DAC内蔵のポタアンをDACとして利用すると、S/N感の貧弱さ、フロアノイズレベルの高さを露呈することがままある。しかし、その点「DA-10」は優秀で、良好なSN感を持つ、ピュア志向のサウンドを楽しむことができる。おかげで、オーケストラの演奏などはヘッドホン試聴の時よりもさらに広がり感の大きい、壮大なスケールのサウンドが味わえる。

組み合わせたスピーカーはELAC「BS312」

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