[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第98回】聴き逃してたらもったいない!「B&O PLAY」の実力派イヤホン/ヘッドホンを激推し
▼Earset 3i
そしてこちらは「Earset 3i」。オンライン直販価格1万9,440円。
一目見てお気付きになった方も多いだろう。これはどう見ても同社イヤホンの超名機「A8」のB&O PLAY版だ。イヤーハンガー型最初期の製品にしてその頂点と言っても過言ではないあの姿をほとんどそのまま受け継いでいる。
精密に加工された金属のハンガーは三カ所がそれぞれの方向に可動し、個人個人で異なる耳の周囲のサイズや形にフィット。その可動部分の精密感、緩くも硬くもないトルク感はさすがの完成度。耳にがっちりぴったり合わせると逆に変にずれやすいので、少し余裕を持たせて装着するのがよさそうだ。
ドライバーとハウジング構造については「ダイナミック型のフルレンジスピーカーは、オープン方式となっている」とのこと。カナル型イヤホンなんてものが一般的ではなかった時代にデザインされたものなので、ここは当然だ。遮音性は皆無だがそういうものだと割り切ってほしい。
音調はというと、これが驚いたことにH3との違和感はかなり小さい。H3はカナル型でこちらはオープン型なのにだ。もしかするとだが、H3の開発においては名機A8の音も念頭にしたチューニングが行われたのかもしれない。すると必然的にB&O PLAY版A8と言えるこのEarset 3iとも近い音になるわけだ。
妄想はさておき、違和感は小さいとはいえもちろん両モデルの音には違いもある。Earset 3iの方が低音楽器の柔軟性、しなやかは優れる印象だ。リズムの感触が少しウォームになるという言い方をしてもよいだろう。一方で例えばギターのキレや艶はH3の方がより好印象。さらに一方で空間の広さ、それを生かしてのエフェクト成分の綺麗さなどはEarset 3iがリードする。
とはいえ音の基本的な方向性はやはりかなり近いので、一般的なカナル型のH3とハンガー型&オープン型のEarset 3iを、音ではなくルックスや装着感を基準に選ぶのもありだろう。
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