【特別企画】ラックスマン/フォステクス/パイオニア/CHORDの4モデル
AKG「K812」「K3003」で人気ヘッドホンアンプ4機種の実力を検証!
FOSTEX HP-A8(税抜10万円)
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ヘッドホンユーザーには定評のあるモデル。非常に丁寧な作り込みが行われており、特に電源やアナログ回路の充実した構成には目を見張らせられる。2012年の発売ながら、ファームウェアのバージョンアップでDoP方式のDSD(DSF)ファイルに対応したり、日々進化を続けている。
■K812との組み合わせ
まず特長的なのが中低域の分厚さとマッシブな鳴り方。チェロの響きはもう少しスキッとさせたいが、ヴァイオリンでは張りのある高域が強靱で主張の強い演奏を引き立てている。若い演奏家の心意気が伝わってくる。音圧感のある低域と切れ味の鋭い高域がうまくバランスしている。いちばん感心したのは宇多田ヒカルで、音楽がまるで水を得た魚のように躍動するのだ。このご機嫌なテンポ感は最高だ。ノラ・ジョーンズも神経質なところがなく、ハスキーな声をいい味で再現する。分解能よりも音の混ざり合いと空気感を大事にした音作りだ。
■K3003との組み合わせ
オーケストラは中域の響きがやや薄くなるが、その分音場は整理され、チェロのソロでも音色がとてもきれいだ。雄大なスケール感……とはいかないが、楽器の音像はクリアに張り出してくる。宇多田ではスカッと飛んでくる音の強さ、そのダイレクトに鳴ってくれる音楽の愉しさ。ギターの金属質の鳴り、ボーカルの子音もシッカリと出る。上間綾乃の喉から絞り出される声のリアリティにゾクゾクさせられるし、凄味を感じさせる三線の弾ける音色……K3003の実力にウーンと唸ってしまう。カナルなら、こう鳴ってほしいというツボをしっかりと押さえた音再生だ。