AKG「K812」「K3003」で人気ヘッドホンアンプ4機種の実力を検証！

CHORD　HUGO（実売24万円前後）
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小さなボディで20数万円。乱暴な方が見たら、LSIをのっけた基板をケースに入れただけ……と言うかもしれない。端子も、オーディオファンから見たらシンプルだ。ただ、これが見かけによらない実力の持ち主なのだから驚く。デジタル機器ではLSIの性能をどう使うか、その技術がいかに重要かを思い知らされる。

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■K812との組み合わせ
プロコフィエフで、ピアノの鮮やかなタッチと弦楽合奏のスリリングな絡み合いが、圧倒的な音量感とともに押し寄せてくる。きわめて解像度が高いが、細身の神経質な音とはまったく次元が違う。チェロの生々しさとボディの鳴りが作り出す太く厚みのある響き、ヴァイオリンの艶やかな音色がシャープに切れ上がっていく……これはすばらしい。ノラのバックで弾くギターが何ていい音なんだろうか。ステレオ音場の拡がりの中に音がきっちりと詰まっている感じ。その密度感がすごい。上間綾乃の声と三線の聴き手を圧倒するリアリティに鳥肌が立ってきた。

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■K3003との組み合わせ
ダイレクトな鳴り方で、K812のような分厚さとは方向性が違うものの、そのドライブ力には舌を巻く。ピアノの打鍵の強さと重さ、さらに解像度の高さが作り出す内声部の密度感。音色の一つ一つに説得力がある。宇多田でもとにかく音が太い、カナル型で、ここまでの太い描写が可能なのだと再認識させられる。ノラ・ジョーンズではK812よりも音の粒立ちがはっきりして、ボーカルのフォーカスがよりシャープになり、子音の明瞭度もアップする。音像がグッと張り出してくる。この音像の存在感と眼前に展開される音場の鮮烈さ。これこそがK3003の魅力と言えるだろう。