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【特別企画】880/860/840を野村ケンジが比較試聴

ULTRASONEの最新ヘッドホン「Performance」レビュー 。“Edition”サウンドを手の届く価格で

公開日 2014/11/19 12:56 野村ケンジ
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3モデルの違いは搭載されたドライバーとイヤーカップのデザイン

さて、ここからは3モデルの特徴を個別に見ていこう。とはいっても、マッドブラックを基調とした外観やEdition 8と同じヘッドバンド構造、そしてドライバーをイヤーカップのセンターからオフセットしてレイアウトすることで自然な音場感を実現する「S-Logic Plus」技術など、基本的な部分は3モデルで全く同じ。大きく異なるのは搭載するドライバーの種類だが、当然それに合わせて各モデルでチューニングも変えている。

3モデルのデザイン上の差は、イヤーカップの上半分のカラーと仕上げの違いだ

3モデル共通で付属する専用キャリングポーチ

外観上では、イヤーカップ上半分のカラーリングの違いで3機種を判別できる。使い勝手ではなく、純粋にサウンドキャラクターとコスト的な希望で3モデルの中から選び分けられることは、なかなかに嬉しい。

「840」はエネルギッシュな中域と量感ある低域が特徴

まずスタンダードモデルの「Performance 840」から。こちらは、イヤーカップ全体がマッドブラック仕上げとなっているが、その上下でつや消しのニュアンスが微妙に異なり、ブラックとマットブラックの2色構成に見えるところがさりげなく、洒落ている。ドライバーは40mm口径で、振動板にはマイラー(PETフィルム)を採用している。

「Performance 840」

そのサウンドは、まごうことなきEditionシリーズのサウンド。距離感がやや近いタイプではあるものの、一般的なヘッドホンよりもやや前方にステージングがシフト、左右に自然な広がり感を見せる。それでいてメリハリの表現はかなりダイナミック。フルオーケストラの壮大なスケール感もしっかり伝わってくるし、ハードロック系もエネルギッシュだ。帯域バランスとしては、しっかりとした存在感を持つ中域にたっぷりとした量感の低域を重ねている印象。高域はそれなりの突き抜け感はあるものの、ややラフな描き方で、Editionシリーズとしてはやや煌びやかさが抑えめといった印象か。

Performance 840のイヤーカップ(左)とイヤーパッド(右)

とはいえ、それは価格に3倍以上の開きがあるEditionシリーズに対しての比較であって、「840」単体で見るとバランスは悪くない。特に、たっぷりとした量感が確保された低域によって臨場感あふれる演奏になっているあたり、好みにピッタリという人もいることだろう。

「860」ウェルバランスな特性で幅広い音楽ジャンルに対応する

続いてはミドルクラスの「860」を紹介しよう。こちらはイヤーカップ上側にシルバーメッキ仕上げが施されており、上品なスタイルにまとめられている。ドライバーは、Edition 12などでも採用されている40mm口径のゴールドプレイテッドドライバーを搭載する。

「Performance 860」

フォーカス感の高さ、空間的な広がり感の良さ、そしてウェルバランスな帯域特性など、とても優等生なサウンドを持ち合わせている。「840」とはキャラクターが異なる低域で、フォーカス感が高く、とてもしなやか。おかげでJポップやアニソンなどの楽曲が、とても心地よいリズムを奏でてくれる。相性が良いのは女性ヴォーカルだ。自然でありつつもしっかりと倍音成分の乗った、のびのびとした可愛らしい歌声を聴かせてくれる。低域のフォーカス感が高いので、ハードロックの相性も良好。ドラム&ベースの音がやや軽い傾向があるものの、その分リズミカルな演奏が楽しめる。


いっぽうでEDM系などの楽曲は、この「860」よりも「840」のパワフルさと相性がベストといえる。その代わり、どんなジャンルでもそつなくこなしてくれるオールラウンダーな再現性を持ち合わせていて、幅広いジャンルの音楽を楽しみたいという人には、3モデルのなかでも「860」がベストといえる。

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