HOME > レビュー > デノン「DA-10」モニターレポート:Mさん「力強い音で各帯域がくっきりダイレクトに伝わる」

デノン「DA-10」モニターレポート:Mさん「力強い音で各帯域がくっきりダイレクトに伝わる」

公開日 2014/12/15 10:00 モニターレポート
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
デノンのポータブルUSB-DAC/ヘッドホンアンプ「DA-10」を、ファイル・ウェブの読者の皆様にお届けして、実際に試聴してもらった感想をレポートしていただいた。読者のリアルな声をお届けする。

低音の量感は増してもボワつくことはなく
中高音はクッキリとしたままダイレクトに伝わってくる

Mさん(20代・男性)

今回ファイルウェブ様よりデノンのポータブルヘッドホンアンプ「DA-10」をお借りし、レビューを書かせていただきました。稚拙ながら、試聴した感想を述べさせてもらいます。

ボリュームガードがしっかりしていて、不意に音量が変わったりせず便利

まず使い勝手について感想を述べます。私の使用環境ですが、iPod Classic 6thからDA-10にデジタル接続し、イヤホンまたはヘッドホンと組み合わせて試聴を行いました。使用する際に持ち運びを考えて付属のケースを使おうと思いましたが、iPodのホイールを操作しようとするとケースの手前にはフィルタが貼られており、ホイールを回して選曲しづらいため、ゴムバンドで固定するようにしました。

DA-10とiPod Classicを組み合わせたところ

2段重ねの運用ですのである程度の重量感はありますが、カバンに入れて持ち歩くうえでは特に問題はありませんでした。揺れるカバンの中でもボリュームガードがしっかりとしているので、不意にボリュームが上がったりなどしなかったのがとても好印象でした。また音楽を聴き終えてDA-10の電源を切ると、iPod側の再生も自動的にストップしてくれるので、操作に手間がかからずに済むのも便利ですね。

各音域が細かく聴こえる一方で、聴き疲れしない

次に音質ですが、まず屋内で、Final Audio Designのヘッドホン「PANDORA HOPE VI」を組み合わせて使いました。このヘッドホンは非常に明るく明瞭な高音を奏でてくれるのですが、iPod単体ですと低音が物足りなく感じることがありました。DA-10を通すと、全体的に元気な音になり、低音がグッと主張してくれます。低音の量感は増えているのですがぼわつくことはなく、中高音はクッキリとしたままダイレクトに伝わってきます。全体的に力強い音で上から下まで全ての音域が細かく聴こえるのですが高音がキンキンしたりはしないので、聴きづかれせずゆったりと聴くことができます。主に屋内ではリラックスするために落ち着いた女性ボーカルの曲(Norah Jones、Susan Boyleなど)を聴くことが多いのですが、ボーカルの声の伸びが良くなり、メリハリが良くなったと感じました。音に厚みが出るのがとても特徴的です。

Final Audio Designの「PANDORA HOPE VI」と組み合わせて試聴

外出時、移動中の電車やバスではEtymotic Researchのイヤホン「ER-4S」(リケーブルにZephone「EE-5」を使用)を組み合わせて試聴しました。元々モニター的な音で解像度がとても高いイヤホンなのですが、外で使う際は少し淡々としていてつまらないと思っていました。ですがDA-10で聴くと、解像度は高いまま、ノリの良さ・躍動感が付加され、聴きごたえのある音へと様変わりしました。外では気持ちを盛り上げるため明るめの曲、主にアニソン(GRANRODEO、Chouchoなど)や邦ロック(B'z、ポルノグラフィティなど)を聴いていますが、ER-4Sのようなフラットなイヤホンでも曲の抑揚が感じられ、楽しくリスニングすることができます。

Etymotic Research「ER-4S」を組み合わせたところ

使用している上で1つ、残念に思った点があります。それはDA-10のギャングエラーによるものです。ギャングエラーとはアンプのボリュームが小さいときに、左右の音の大きさが違って聴こえることですが、このアンプではボリュームを回し始めて、10時あたりまで回さないと音に偏りが生じてしまいました(このあたりは個体差かもしれませんが)。そこまで回すと、ゲインをノーマルにしてもイヤホンではかなり大音量になってしまい、電車内で音漏れがはっきり分かるほどになってしまうのです。今回はインピーダンスの大きいER-4Sを使用したため10時あたりまで回してちょうどいい音量だったのですが、ほかのイヤホンで試してみると音量が大きすぎるため、アッテネーターを挟み音を減衰してやっと使える状態でした。この点は改善が欲しいところです。

様々なヘッドホンに組み合わせられるポタアンと感じた

2014年11月現在、実売4万円ほどで販売されていますが、価格に見合う音質は十分あります。どちらかというとアンプで音に味付けという感じではなく、音源への肉付け、下味をつける方向性で作られているので、どのような機器にも合わせてくれる万能な機種です。今回、私は試していませんが、流行のハイレゾ音源の再生もこなせますし、デザインも個人的には丸みを帯びていてごつごつした印象がなく綺麗に作られていると思います。操作もわかりやすいですし、デスクに1台あれば何かと融通が利くでしょう。初めてアンプを買う人や好みのヘッドホンの個性をさらに発揮させたいという人にはぜひおすすめしたいですね。

編集部注

編集部からデノンへ「DA-10」のギャングエラーについて問い合わせところ、「最初期ロットの一部の個体にて、ギャングエラーが生じる個体が確認できたため、その後、生産段階において見直しを図り、改善を実施した」とのこと。現在流通している個体については、ギャングエラーの問題は解決しているとの回答を得ております。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE