<山本敦のAV進化論 第36回>
ニール・ヤングのハイレゾプレーヤー「PonoPlayer」が到着!音質&ハンドリングを速報レビュー【動画あり】
ノラ・ジョーンズのボーカルは立体感が際立ち、ハイトーンの伸びやかさが強調される。ロングトーンは輪郭の雑味が消えるので、ブレスやビブラートのディティールが浮き彫りになって、より色っぽさに磨きがかかる。強弱のレンジも広くなって、演奏に自然なふくよかさが加わる。シングルエンドの時とは鮮度が格段に変わった。
ピアノコンチェルトは楽器の音色のアタックがスムーズになって、定位感もキリッとしてくる。余韻の消え入り際も爽やかで、透明な空気の中にすっと消えていくイメージだ。ピアノは強弱の再現幅が広くなって、音の粒立ちも輝きを増す。微細な音が見渡せるようになるので、演奏の臨場感も高まる。各帯域の音のバランスも良好だ。
ビル・エヴァンスはピアノの硬質な音が立体感を増す。繊細で微少なニュアンスが浮き彫りになって、演奏者の表情も見えてくる。シングルエンドではやや膨らみがちだったベースの押し出し感が落ち着きを取り戻し、代わりにドラムスのハイハットやシンバルのディティールが豊かな表情を見せ始めて、“バンドの音”としての一体感が自然なバランスに整った。
以上、PonoPlayerのファーストインプレッションをご報告させていただいた。音質については、特にXBA-Z5との組み合わせではバランス接続の音が筆者の期待以上に良かった。しばらくはこれをリファレンス環境にもできそうだ。あとは持ち歩くために本体ケースは必須。ヨドバシカメラあたりで何かしら良さげな製品を急ぎ見つけに行こうと思う。
音はエージングしていけばもう少し中高域の硬さがほぐれてきて、シングルエンドの場合でもより全体のつながりと一体感が増してくるようなポテンシャルが感じられた。その辺については今後メジャーなソフトウェア更新があった時など、機会を改めて報告できたらと思う。または「人気ヘッドホン×PONO・対決レポ」的な企画も、リクエストを頂戴できればぜひご報告させていただきたい。