[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第110回】高橋敦が選ぶ「ポタフェス2014冬」“超”個人的ベスト5!
【第1位】HF Playerが超進化!
iOS用高音質音楽再生アプリの事実上の標準という地位をすでにほぼ確立していると思える「Onkyo HF Player」だが、それがさらに超絶進化することが発表され、同じく新製品のポタアン「DAC-HA300」との組み合わせでそれを動作させている実システムが展示されていた。
で、個人的に特に気になった超進化ポイントは次のふたつ。
●"超"正式版 for Android
●Virtual FPGA
他にもいろいろあるようだが、個人的に「これは!?」と思わされたのはこれら。
▼"超"正式版 for Android
従来とりあえず「トライアル版」、つまり公開テスト版的な位置付けで公開されていたAndroid版だが、いよいよ正式バージョンとなる。
さらにアプリ内部に「Onkyo USB HF Driver」を実装。独自のUSBオーディオドライバーを持つことで、スマートフォン各機種ごとのAndroid OSのオーディオ周りの実装等に影響されず、より広範なスマートフォンとの組み合わせで、ハイレゾを含めてOTGケーブル経由でのUSBオーディオ出力を実現させるという。Androidスマートフォンは利用していないので個人的に「これは欲しい!」とかではない。しかしAndroidのUSBオーディオ周りの厄介さに対して技術力で勝負を挑む、その姿勢やその手法を嬉しく頼もしく思ったということで、ピックアップさせていただいた。
なおまた「Onkyo HF Player」はMac版とWindows版も登場予定とのことだが、そちらは当面、同社DACユーザー向けにその組み合わせでのみ動作する形での提供とのこと。いずれはスマホ版に匹敵するPC版も期待したい。
▼Virtual FPGA(仮)
何と新生Onkyo HF Playerは「Virtual FPGA (仮)」を実現したのだッ!
…いきなりそんなテンションで言われても意味不明かと思うので説明していこう。取材時に運悪くブースにアプリ開発担当の方がいらっしゃらず、詳しいお話は聞けなかったので推測まじりになるが…。
「FPGA」とはDACとかDSPみたいな半導体による信号処理ユニットの一種だ。4文字のうちの「P」は「Programmable」の頭文字であり、それこそFPGAの特徴。ユニットの動作内容みたいなところを、それを使うオーディオメーカーの技術者がプログラムできたりする。すると何がどうなるのかというと、自前でDACをまるごと設計&製造するなんてのは色々無理!というメーカーや製品でも、FPGA+独自プログラムで「おおよそオリジナルDACチップ」みたいなのを作って使えるのだ。その名前を流用した「Virtual FPGA」は、それに近い役割をアプリ内での処理として行うものと考えてよいだろう。
そしてポイントは、新生HF PlayerにはPCM音源の「リアルタイムDSD変換」機能も搭載されているというところ。
正直に言って僕も明瞭に理解できているわけではないので超ざっくりと言うが、現在のDACチップは内部処理的には実は、マルチbitなPCM系データよりも1bitなDSD系データの方をよりネイティブに扱えるというか、より素に近い状態で受け取って素に近い状態で処理できるというものが多い…らしい。
だったらPCMデータもアプリ側でスマホの膨大な処理性能を活用してより高精度な処理を行ってからDSDの1bitデータとしてとしてUSB出力すれば、DACチップに依存する部分が減ってもっといい感じの音にできるのでは?
Virtual FPGAの意図はおそらくそういうことではないかと思う。こちらもまた実に意欲的な挑戦だ。そうなると例えば「普通にUSB接続で使うといまいちなんだけれどHF PlayerからDSDで出すといい感じの音になるDAC(DACチップ)」なんてのも見つかるかもしれない。ややこしいことになる気もするが面白そうだ。
■さいごに
ということで今回も、特に気になったところを個人的ベスト5という形で紹介させていただいた。最後は皆様の幸せを願って、会場で見つけたケサランパサランの写真で締めたいと思う。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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