PCやテレビとの組み合わせを試す
TEAC「HR-S101」レビュー − Referenceの系譜に連なるハイレゾ対応コンポ
メインユニット「AI-101DA」の実物を手に取り設置を始めると、1.2kgという見た目以上の重量感もあって、カジュアルな入門機というより、むしろ堅牢なオーディオ機器の設計という印象を受ける。アルミ製のキャビネットに、フロントパネルや操作ノブもアルミ削り出し。実機を手にとって操作してみると、特に電源つまみのメカニカルな機構は、エントリークラスの機器には異例な質感へのこだわりを感じさせる。
実用性の面では、前述のように縦置き設置にも対応。横置き用フットが取り付けられて出荷されるが、縦置き時用に4箇所のラバーフットが付属しており、こうした点もオーディオメーカーらしい行き届いた配慮だと感じる。
筆者がメインで使っているデスクトップPC(28インチ液晶モニタ)の横に設置してみると、「HR-S101」のそのコンパクトさがよく伝わるはずだ。PCとの接続は市販のUSB -B端子向けのケーブルで行い、Windowsなのでティアック提供のドライバソフトウェアを使用(Macの場合はドライバレスでセットアップが完了する)。「HIGH SPEEDアンシンクロナスモード」で動作し、44.1kHz/48kHz/88.2kHz/96kHz/176.4kHz/192kHzのデジタル入力が可能だ。
ハイレゾ再生ソフトウェアは、シンプルに使い始められる同社純正の「TEAC Audio Player」が提供されているので活用したい。再生対応フォーマットはWAV/FLACで、DSD変換には非対応だ。
■音質チェック ‐ PC用アクティブスピーカーとは一線を画すサウンド
ハイレゾ音源としてまずカラヤンの『ヴィヴァルディ:四季 - 春 第1楽章:アレグロ』を視聴してみると、小型スピーカーながら弦楽器の倍音にも十分な厚みがあるサウンドで、ハイレゾらしい情報量が再生されていることがわかる。SHANTIの歌うジャズボーカル曲の『Killing Me Softly With His Song』ではボーカルのシャープな音像の立ち上がりはもちろん、ハイレゾ音源らしいシンバルの音の切れ味が鋭い。
低音は小型スピーカーのサイズにしては予想外によく出ており、しかもオーディオ的な硬質なタイプで音楽を聴く上で実に好ましい。また、Daft Punkのアルバム『Random Access Memories』のような電子音楽でも解像感をしっかりと出すサウンドで、その音数の多さに唸らされる。本格的なハイレゾ音源再生以外にもiTunesやYouTubeの音楽再生に流用したり、何かと活用機会も多くなるが、一般的なPC用アクティブスピーカーとは一線を画す、繊細な音楽再生を志向した、オーディオ然としたサウンドを鳴らしてくれるのだ。
また、本機には「HR ラウドネス」という機能が搭載されていることも特筆したい。DSP処理によるラウドネス回路で、小音量時でもメリハリのあるリスニングができるようイコライザーが設定。デフォルトでは、セットスピーカーであるLS-101に最適なイコライジングカーブが設定されている。なお、ハイレゾ音源はハイレゾのまま、DSPで処理。またアナログ音源の場合も96kHz/24ビットにA/D変換し、イコライジングを行う。実際に聞いてみると、たしかに低域の迫力が増すことが確認できた。