【特別企画】組み合わせレビュー
ラディウスのAndroid直結ポタアン「RK-LCH61」&ハイレゾ視覚化再生アプリ「Ne PLAYER」を使ってみた
「RK-LCH61」と「Ne PLAYER」を組み合わせてサウンドをチェック!
それでは実際に「RK-LCH61」を「Ne PLAYER」を組み合わせてサウンドを試聴してみよう。Androidスマートフォン「Xperia Z2」にインストールした「Ne PLAYER」で楽曲を再生、ヘッドホンのリファレンスにはオーディオテクニカの「AHT-MSR7」を使っている。いずれもスマートフォン内蔵のイコライザー機能「ClearAudio+」はオフの状態で聴いている。
◆マイケル・ジャクソン「XSCAPE」/『Slave To The Rythm』(FLAC・96kHz/24bit)
スマホにヘッドホンを直結して聴く場合と比べて情報量が飛躍的に高まり、バンドの複雑なアレンジもディティールの隅々まで拾うようになる。その中央にはボーカルが鮮明に浮かび上がり、声質は活き活きとしてフレッシュ。伸びやかなハイトーンの階調感もきめがこまかく清々しい。RK-LCH61を外して、もう一度ボーカルに耳を傾けてみると、何ともザラザラとした質感だったことに改めて気がつく。高域もやせ細っているように聴こえてしまう。バンドの楽器はセパレーションが明瞭で、特に低域の制動力が高い。エネルギーをタイトに引き締めながら、正確にリズムを刻んでくる。このあたりも本機無しだと、膨らんだ中低域の音がリズムに被さってきて、何となくフォーカスが緩く感じられてしまう。
本タイトル以外にロックやポップスのアップテンポな楽曲を聴いてみてもリズム感が一様に向上する所に「RK-LCH61」の恩恵を強く実感した。
◆ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」/
第4楽章:フィナーレ(アレグロ・コン・フォーコ) (FLAC・96kHz/24bit)
オーケストラの演奏は全体にフラットなバランスで、統一感に富んでいる。楽器の音のセパレーションもやはり良好で、個々のメロディラインの稜線がくっきりと見えてくる。ノイズフロアが低く抑えられており、ゆったりと展開する木管楽器のソロが豊かな表情をみせる。弦楽器の和音も滑らかで、繊細なニュアンスが蘇る。特に生楽器の音色はナチュラルで無駄な色づけがないところが、演奏全体のリアリティ向上につながる大事な一翼を担っている。低域もシャープでキレが良い。コントラバスやティンパニはふくよかな低音をしっかりと響かせるが、音像はタイトに引き締まっていて、アタックの強さと量感のバランスも良い。
RK-LCH61を外した状態で比較すると、平板なアタック感とディティールの解像力不足が気になってしまう。演奏の底を支えるパワーも不足しているので、立体感やセパレーションが落ちて、全体に曖昧にフォーカスがぼやけてくる。本機をつなぐことで、高域の再現性に余裕が生まれ、特にトランペットなど金管楽器の高域がしなやかで柔らかな音色になる効果も得られるようだ。
◆Milos Karadaglic「Latino Gold」/
「Barrios Mangoré: Un Sueño en la Floresta」(FLAC・96kHz/24bit)
ガットギターの艶やかな響きをたっぷりと聴かせる。音調はやはりニュートラルで、自然なバランス感覚を保った楽器の音色が心地良く染み渡ってくる。トレモロの音も粒立ちがキリッと立っていて、中低域の重厚な音色に負けることなく互いを引き立て合うことで立体感の豊かな演奏をかたどる。音の立ち上がりや立ち下がりが俊敏になって無駄にだぶついた感じの余韻が絞られる。SNがぐんと高まって、レコーディングの張り詰めた空気と緊張感までも伝わってくるようだ。
RK-LCH61を外して聴くと、特にトレモロの音が濁りって音のフォーカスに甘さが感じられるようになる。強弱の描き分けもRK-LCH61を通して聴く方が段違いに鮮明だ。
◆JUJU「GIFT」/『YOU Orchestra ver.』(FLAC・96kHz/24bit)
RK-LCH61を介することで一気に情報量が増して、ボーカルのビブラートやブレスなど細部の表情が立体的に見るようになる。本機なしで聴くと少しキレが鈍く苦しそうに聴こえてしまっていたハイトーンが、柔らかくふくよかになってエネルギー感が段違いに出てくる。JUJUのシルキーでなめらかな声質の特長が、無理なく自然と華開く印象。ボーカルとオーケストラによるバックグラウンドの間に絶妙な距離感が生まれる。ワイドレンジでありながら、奥行き方向にも見通しの良いパースペクティブがぐんと広がる。“ボーカリスト×オーケストラ”という作品の企画意図と魅力が、RK-LCH61を通して聴くことで合点がいったように感じた。
リッチなハイレゾ再生の音質をしっかりと確かめてきたが、その軽快なポータビリティの高さと合わせて、実売19,800円前後というコストパフォーマンスの良さが大いに実感できる製品だと思う。
Android 5.0からはOSベースでUSBオーディオ出力の対応も実現されたわけだが、これからAndroid環境でハイレゾが聴ける環境がさらに整ってくるはずだ。完成度の高いアプリと合わせて、導入したスマホやタブレットのスタンダードな再生環境として長くユーザーの満足感を満たしてくれるセットになるだろう。