岩井喬が徹底レビュー
【連続企画第1回】ティアック「HA-P90SD」 “プレーヤーとしての実力” を検証する
■HA-P90SDのプレーヤー機能に迫る
HA-P90SDのプレーヤー機能では、スライドシャッターつきmicro SDXC対応カードスロット(128GBまで対応)を備え、micro SDカードに保存している192kHz/24bit・PCM&5.6MHz・DSDまでの音源ファイルをダイレクトに再生することが可能だ。
コーデックについてはWAVやFLAC、DSF、DSDIFF、MP3、AACに対応。タグ情報を基にした自動ソート機能(楽曲名、アルバム名、アーティスト名、プレイリスト、お気に入り)も有し、シャッフルやリピート、ギャップレス再生も行える。また、オートプレイリスト機能も搭載している。本体収録可能数は最大9999ファイル/メディア、3000フォルダ/メディアとなる。
ボディ正面には日本語表示も可能とした低消費電力型の有機ELディスプレイを備え、その下に『HOME』『PLAY/PAUSE』『FF』『REW』の各項目キーを円状に配置。側面にはシャトル操作&押し込みキーを備えるマルチウェイスイッチが用意されており、ボディ正面の各種キーを含め、片手で簡単に操作できるよう設計されている。
■プレーヤー機能の肝、アナログデバイセズ “Blackfin” BF606
こうした操作体系を含め、プレーヤー機能で肝となるのが低消費電力なDSPチップ、アナログデバイセズ製 “Blackfin” BF606の存在だ。ハイレゾファイルの膨大かつ複雑な処理に加え、組み込みOSを用いた軽快な操作性を実現するために選択されたのがこのBF606である。
Androidなどの汎用OSを用いるプレーヤーも少なくないが、純粋なプレーヤーとしてみた場合、不要な機能が多いのもまた事実。利便性は高くともプレーヤー操作でワンテンポ待たされたり、サウンド面にとっても電源安定度やノイズ干渉の心配がつきまとう。
メーカーにとっては組み込みOSを用いることで開発の手間はかかってしまうが、サウンドを優先に考えた場合は逆にメリットとなるのである。このシンプルかつ快適な操作性、サクサクと動く機能性の良さは長年タスカムブランドでハンディレコーダーを手掛けてきた強みが活かされているようだ。
例えばセッティングの項目選択画面などはまさにDRシリーズに繋がる雰囲気を感じる。筆者もハイレゾ対応レコーダーの初期モデル「HD-P2」から同ブランドの製品に親しんできているので、そのダイレクトな操作性はすぐに馴染むことができた。
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