[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第113回】プロフェッショナル“試聴”の流儀〜オーディオライター 高橋敦
イヤホン本体にはイヤーピースが装着されている。しかしそれとは他のサイズのイヤーピースが一組も同梱されていない。
「残念ながら、時折あることです」
それでは評価に支障が出るのでは?
「耳に合う適切なイヤーピースを選べるかどうかは、カナル型イヤホンの装着感に遮音性、音質を何割も上下させます。メーカーの方も当然わかっていることです。でも、うっかりは誰にでもあります。僕も返送時に付属品を入れ忘れたことありますし…」
そう言いながら高橋は作業デスクの一角に手を伸ばした。取り出したのは…様々なイヤーピース。
イヤホン側のノズル径や形はメーカーやモデルごとに異なるが、一部同士では、装着は可能という程度の互換性がある場合も多い。高橋は互換性の高いイヤーピースをいくつか常備し、試聴機にイヤーピースが付属しない場合はそれで代用しているという。
しかしそれでは、純正イヤーピースとは装着感も遮音性も音質も変わってしまうのではないか?
「その点は試聴時に意識しなくてはいけませんし、必要と判断すれば記事文中にも明記するべきでしょう。その上で、そのイヤホンの能力を可能な限り把握して読者さんに伝えるのに、どちらがよりベターかということです」