人気シリーズに待望のイヤホン登場
ゼンハイザー「MOMENTUM In-Ear」レビュー。銘機の音とデザインを凝縮
■絶妙な設計で「音楽を聴くのに最も楽しい音」を追求
まずはDaftPunkのアルバム「Random Access Memories」(88.2kHz/24bit)を聞くと、スピーカーで聴いた際の空気の揺れまで伝わってくるような、エネルギー感のある重低音がとにかく心地良い。それでいて出し過ぎず、低音の響きも含めて正確にコントロールされた音と評したい。高域はスムーズに伸びるのだが、アタックの強さというより空間を意識した、しなやかな高域の伸びで気持ち良く鳴らしてくれる。
ジャズではSHANTIの「BORN TO SING」(96kHz/24bit)を聴く。ボーカルをしっかりと立てる、その分離感の良さが何よりの美点。高域までキッチリと帯域を伸ばして鳴らすのだが、それでいて耳に心地よいまとめ方はさすがだ。
空間のスケール感も大きく、特にアコースティックギターを空間上にピタリと止まるセパレートを両立させているのが見事で、雰囲気重視というだけでもなく、モニター調に振り切っているわけでもない、音楽を聴くのに「最も楽しい音」を実現しているのだ。
ほかにクラシックはハイレゾ版の「カラヤン〜ザ・ベスト・オブ・マエストロ〜アビイ・ロード・スタジオ新リマスターによる」(96kHz/24bit)を聴いたが、クラシックの音を華やかに、そして弦楽器の音の歯切れ良さも鳴らし分ける。
今回は長期に渡り使用できたので、iPhone 6やXperia Z3 Compactと組み合わせ、屋外でも使用してみたが、遮音性が高いため屋外でも快適に聴けたことも報告しておきたい。パワフルな低音によって、騒音の響く地下鉄でも重低音のエネルギー感を失わないことも確認できた。
スマートフォンでのリスニングはもちろん、YouTubeなどのネット動画やゲームなど、様々な用途やシーンで気軽に使えるのはインナーイヤー型ならでは。MOMENTUM In-Earはオーバーヘッド型MOMENTUMの音質とデザインテイストをコンパクトに凝縮しており、その銘機の系譜に連なるモデルと評価できる。
(折原一也)