<山本敦のAV進化論 第47回>Apple Watchは「買い」か!?
Apple Watchにある2つの「泣き所」 − Android系スマートウォッチと比較検証
アップルではApple Watchの上で動作するアプリを開発するためのSDK「WatchKit」を提供しているほか、先日アップルが開催したカンファレンスでは、スマートウォッチを活用した医療分野の研究用アプリを開発するための「ResearchKit」を4月に公開すると発表した。クローズドなプラットフォームながらも、実際は既に世界で最も多くのユーザーを獲得しているiOSとWatch OSによる連携が、次世代の「IoT(モノのインターネット)」のフィールドでも一気に覇権を握るのか。アップルにとって、Apple Watchの成功が重要な鍵を握るデバイスであることは間違いない。
iPhoneを車の中でより安全・快適に活用するための技術として開発された「CarPlay」は既に走り出したが、ホームアプライアンスをはじめとするIT・モバイル以外のエレクトロニクス機器にもiOSによるコネクティビティの輪が広がる様子は今のところ見られない。
しかしながら、アップルがリビング用テレビを開発しているというウワサはだいぶ前から聞こえているし、最近では同社が電気自動車の開発に本腰を入れはじめたと伝える向きもある。車を含む、ホームエレクトロニクスのコネクティビティがユーザーにとって使いやすいものになり、生活に浸透していくために決定的な要素は、使える機器のバリエーションの豊富さと、インターフェースの使いやすさにほかならない。
Android OSをはじめ、他のプラットフォームとの競争は今後も熾烈なものになるだろうが、もしアップルがスマートウェアでも成功すれば、洗練された強力なアプリや、Mac OSとiOS、Watch OSによるUI連携によるコネクティビティ・プラットフォームを基盤に、次世代のIoTエレクトロニクスの進化を掌握する可能性もみえてくる。
■Apple Watchにある2つの「泣き所」
Apple Watchがスマートウォッチの進化に大きなインパクトをもたらす期待感は高い。では弱点はないのだろうか?筆者は二つの点に「Apple Watchの泣き所」があるとみている。
一つは誰もが気になっている「バッテリー容量」だ。ただし、単に「容量が足りないからダメだ」と言いたいわけではない。筆者はソニーの「SmartWatch 3」を、昨年11月28日の発売日に買ってからほぼ毎日使い続けている。本機を充電せずに使い続けられる時間はだいたい1日半から長くて2日前後だ。Apple Watchが発表している約18時間よりも少し長い程度だが、その点について今のところ不満はない。そもそもスマートフォンも毎日充電しているのだから、ついでに時計も充電しておくぐらいの手間は、習慣になってしまえば大きな負担にはならないからだ。
だが、それを手間に感じさせない大きな理由は「SmartWatch 3」が本体にmicroUSBケーブルを直接挿して充電できるからだ。他に専用の充電台やケーブルを持ち歩く必要がないので、充電を忘れて出かけてしまっても、外出先でもスマホと同じmicroUSBケーブルをシェアしてバッテリーが満たせる。しかも充電にかかる時間はそれほど長く要らない。