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DM008との個性のちがいも検証

Dynamic Motionのダイナミック型イヤホン「DM008P」レビュー − オールアルミ筐体の上位機

公開日 2015/04/22 15:24 高橋 敦
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堅実なまでの音質チューニングは低域再生で特にその効果を発揮

音質チューニングには、このブランドを日本に導入するサエクコマースも参加している。同社はオーディオアクセサリーブランドとして定評のあるメーカーであるので、ここでもまた信頼感が増す。前述のように、DM008Pは筐体素材の変更に合わせてチューニングの最適化も行われている。

筐体素材の変更に合わせてチューニングの最適化も行われている

DM008Pで印象的なのは、やはりその堅実なサウンドだ。それが特にわかりやすいのは低域だ。低域から超低域にかけてを豊かに広げるのではなく、低域楽器の芯の部分をぐっと締め込むようにしっかり出すことで、楽器としての音色を力強く明確にしていると感じる。

例えばベースは、肉付きはほどほどで骨格が強い音色といった印象だ。しかしそれでいて、硬い音色にはなっていない。筋肉質すぎず、骨太で筋肉と脂肪をバランスよく備えている。

おかげでDaft Punk「Get Lucky」のような低重心で分厚いベースの音色やフレーズも、沈み込ませつつお尻の重い感じにはせず、そして明確にしつつ硬くはせず、柔軟な弾みも表現できている。

Daft Punk「Get Lucky」収録のアルバム『Random Access Memories』

超低域における空気感を重視して音づくりをしているイヤホンもあるが、音楽に寄り添った堅実さを感じさせるのはDM008Pのようなチューニングだろう。その低域の出し方のおかげで、空気感がもわっとしてしまうこともないし、他の帯域を邪魔(マスキング)してしまうこともない。

高域は、湿度感の表現にも対応する、落ち着いたほぐれ方をしてくれている。女性ボーカルやシンバルのシャープな成分も、しっとりとした感触で耳に優しい。でもぼやけたほぐれ方ではなく十分に明瞭で素直な音色だ。

フラットケーブルが筐体にそのまま流れ込むように見せるデザイン

メタル系のディストーションギターのエッジ等はちょっと弱く感じるが、代わりに厚みを豊かに感じやすい。わかる人にはわかりやすいであろう例を出すと、ヴァン・ヘイレンよりもブラック・サバスの方に合うような音調と言える。

こうした音調のおかげで、聴きやすく、聴き疲れしないことも好印象だ。事細かに聴き込みたいときには解像感がもっとわかりやすく強いタイプが合うと思うが、いつでも様々な場面で音楽を聴いていたい、そのためのイヤホンが欲しいという方には、こういうタイプが合うと思う。

イヤーチップ(S/M/L)が付属

DM008/DM008P共にプラグ形状はストレート型3.5mmステレオミニ。ケーブル部はフラットケーブル

なお、ベースモデルのDM008の方は、DM008Pよりは高域も含め全体がもう少し明るく開放的、低域はより量感を重視している。それをベースにオーディオ的な抑制を効かせてより綿密に整えたのがこちらDM008Pといった印象になる。

自らの仕事を堅実に継続しその技術力を高めてきたメーカーが、その堅実さと力を自社ブランドで存分に発揮したイヤホン。DM008そしてDM008Pのようモデルは、何よりも音を大切にするオーディオファンにとってまさに歓迎すべきモデルと言えるだろう。

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