【第123回】「人気キャラソン×高CPイヤホン」連載史上最大の40組み合わせで相性テスト！

・木下林檎（CV: 田村ゆかり）「コードレス☆照れ☆PHONE」

「人と話したくてカレーの配達を注文したらインドの人が来て言葉が通じなかった」「友達っていくら出したらなってくれるの？」…この現実！「きんモザ」の現場に溶け込めているゆかりんを想像できない！じゃあどこの現場になら溶け込めてるゆかりんを想像できるんだよ？とかも聞かないでほしい。というわけでツンデレならぬ詰ンデルキャラも確立させつつあるゆかりさん。しかしこのところのシングルではその多面的な魅力、曲ごとのコントラストをさらに強め、シンガーとしていまなおさらなる可能性を追求。それに最近は慕ってくれている後輩もいるようなのでファンとしても少し安心している。これからもゆかりんをよろしくお願いします、神楽坂ゆかさん！

その神楽坂ゆかさんもコンサートでカバーというか超完コピしていたのがこの曲だ。「のうりん」でゆかりさんが演じる木下林檎が演じるアイドル草壁ゆかの曲ということなので、超定型的なアイドルソングとして作られている。ライブにおいて合いの手を入れまくってもらう前提のアップテンポのアッパー曲だ。ぶっちゃけオーディオ的な聴きどころというのは特にないのだが、とはいえゆかりさんの歌声を満喫するには、基本的なクオリティはやはりできるだけほしい。そして最優先はもちろんゆかりんの歌声の感触だ。

・木下林檎×SE112　相性評価：△

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SE112はちょっとパワフル過ぎてアイドルポップスという感じは薄れてしまう。ライブハウスみたいな狭いスペースに大音量を詰め込んだ感じで、アイドルはアイドルでも地下アイドルっぽくなってしまうのだ。ベースやドラムスのローエンドが広がってそれが全体を一体化させて、その一体となったドライブ感が持ち味。なのだが、僕はこの曲にそういうのを求めていない。ロック的な力強さが出てしまって、アイドルポップスとしてのキュートさが引っ込んでしまう。なのでこの曲との相性としてはいまひとつ。得手不得手、そして僕の好みの問題でしかないが、ここはそういうことにさせてもらう。

・木下林檎×TX2　相性評価：○

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TX2はさすがのバランス。音がこもらず、野外会場のような開放的な雰囲気もある。シンバル、ギター等々、中高域楽器がほどよくシャープで全体にすっきりとした見晴らしのよさがある。ベースやバスドラムのローエンドもぼわっとせずほどよく豊かな空気感を備えている。高域での細かなリズムと低域での大きなドライブ感がバランスよく合わさってくれるので、曲の進み方も気持ちよい。声もやや細身ですっきり系。シャープさが強まって艶っぽさは弱まる感はあるが、ゆかりさんの声の魅力を損ねるほどではなく、好み次第という範疇。ゆかりさんのツン成分がお好きな方にはよいのではないだろうか。

・木下林檎×ATH-CKB50　相性評価：△

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ATH-CKB50はこの曲がカーラジオから流れてきたかのような親しみやすさはある。音符がほら風に舞うわ。しかし声が少し荒いのは難点。演奏の音色もやや荒いのだが、こちらはそれはそれで悪くない気もする。その荒いシャープさのおかげでギターやハイハットシンバルのキレはよく、スピード感が出ている。低域が少し弱めなことでドラムスとベースのローエンドの空気感は薄れているが、それによるタイトさもスピード感を高めてくれている要因だ。

しかし話は戻るが、その少し荒い質感が声にも出てしまい、あまり心地よくないざらつきや掠れが感じられてしまう。この程度のことは通常のレビュー原稿であれば「質感を強めに出す傾向」程度の表現に止めるが、ゆかりさんの声についての話であれば表現を緩めるわけにはいかない。まあつまりは僕の思い入れの問題にすぎないので一般論的にはそんな気になるレベルの荒さではなく、「質感を強めに出す傾向」程度のことと受け止めておいてほしい。

・木下林檎×XBA-100　相性評価：◎

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XBA-100はライブ感とかではなくまさにオーディオ的に、スタジオレコーディングの緻密さをそのまま楽しめるという感じだ。何しろ音色のきらきら感がこれぞアイドル！全体に明るく華やかな雰囲気だし、アクセントとして入るチャイム系の音色の輝きとかもよい。ハイハットシンバルのしゅっとしたキレやギターのシャープに整ったエッジ感。低域のほどよいタイトさで音場にすっと収まっているベースにスタンと決まっているドラムス。それぞれのパートが立っているのだが悪目立ちはせず、全体の整合性も高い。

となればそれらを背景に、主役のゆかりんの立ち姿もぱっと浮かび上がって明瞭だ。すっきり系でちょいシャープな音像に声質。ゆかりさんの魅力を綺麗に引き出してくれている。プラスチック的につるんとした艶だけではなくきめ細かなざらつきを備えるというのがゆかりさんの声の特筆点だと思うのだが、その感触もちゃんと伝えてきてくれる。

欲を言えばもう少しだけざらつかせてくれると、猫の舌のように心地よくざらつくあの感じにさらに近づくと思うが、そこまでの表現はもっと上の価格帯のイヤホンに望むべきだろう。このあたりの価格帯のイヤホンでゆかりさんの声をこのくらいまでちゃんと表現してくれれば満足納得だ。