[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第123回】「人気キャラソン×高CPイヤホン」連載史上最大の40組み合わせで相性テスト!
・テイルレッド(CV: 上坂すみれ)「ツインテール・ドリーマー! (レッドver.)」
「私なんて何の特技もない…ロシア語を話せることしか」等の名言も印象的なすみぺさん。お前の血は何色だッ!と問われたらこの方は一片の迷いもなく「いや赤ですよ?」と答えるに違いない。ソ連大好き!ボトムズ大好き!ロリータ服が私の装甲!というのはキャラ設定として盛りすぎなのだが設定ではなく現実なのでどうしようもない。さて「俺、ツインテールになります。」原作には「刃牙」ネタも多く盛り込まれており、作品的にもこの企画との親和性が高い。そもそもイヤホンの起源が古代ツインテール文明に遡るものであることも、頭の左右から揺れるケーブルがどう見てもツインテールを模していることからも明らかだ。一番手はこのキャラこの人で決まりだろう。
さて「ツインテール・ドリーマー! (レッドver.)」はED曲のソロバージョン。ハードロック系の熱さでありつつ暑苦しくはしない音作りの、ヒーローものとして奇をてらわない王道曲だ。元々中低音の厚みは強調はしていない。なのでイヤホンにも中低域の厚みはさほど要求せず、曲と演奏のスピード感をもたらせないキレの方を重視したい。歌声は、上坂さんご自身の名義での歌だと抜けの良さと艶っぽさの共存が印象的だが、この曲では抜けの良さの方にバランスを少し寄せて幼女感を高めているようだ。
・テイルレッド×SE112 相性評価:○
SE112はこの曲のハードロック要素を高めてくれる、攻撃力特化のライザーチェイン的なイヤホンだ。まず印象的なのはギターの厚みの豊かさとベースの重心の低さ。なので例えば、左chでパワーコード中心にプレイするハムバッカー搭載と思われるギターが際立ち、それがハードロックの「らしさ」を高めてくれているわけだ。右chのカッティングギターのエッジ感やシンバルのシャープさは他のモデルほどには出せず、細かなキレは控えめ。
ベースはローエンドがやや曖昧に広がる感触ではあるが、それはライブ会場でのボワッと広がる低音の空気感にも近いものがあり、それはそれで悪くはない。音色の芯や輪郭が明確すぎないことで「何だかわからないけど勢いはある」的なドライブ感も出ている。ボーカルは声を太らせない程度の厚みがあり、荒く鋭い高域をあまり出さないことで、抜けと艶をバランスよく備える印象。ということで一般論的には十分に評価できるが、表現が大柄で厚みがあることはテイルレッドたんの容姿、すなわち幼女とは不釣り合い。最高評価にはできない。
・テイルレッド×TX2 相性評価:◎
TX2はこの曲のポップさを高めてくれる。おおよその要素がバランスよく、基本形態でのブレイクレリーズといったところか。中高域は軽やかで抜けがよいタイプ。ギターで言えば右chのカッティングの方が曲をリードするようになる。シンバルも明るくシャープな音色。リズムを細かく軽やかに刻む要素の活躍がテイルレッドたんの躍動を感じさせてくれる。
ベースやドラムスは密な重量感はさほど出さず、しかし音楽的な豊かな響き、空気感を発揮。ヘヴィではないが充実した音色だ。低域をしっかり出しつつも重さを出しすぎないので、リズムをもたらせない。ボーカルは艶っぽさよりも抜けのよさや元気さに寄せた表現で、テイルレッドとして実にしっくりくる。ということでこちらは一般論的にもテイルレッドたん的にも何の不満もなし!
・テイルレッド×ATH-CKB50 相性評価:○
ATH-CKB50はスカッと軽やかに抜けつつハードタッチでスピード感がある。スピード特化形態のフォーラーチェインと言える。力が密集した迫力ではなくスカッと抜けた音での荒さやスピード感が秀逸だ。そしてギターのエッジの荒さがダントツによい。右chのクランチギターのカッティングの抜けとキレが抜群だ。もちろん全体としてみてもキレキレっぷりではこれが抜群と言える。最高速度が初速!!!的なアタック感だ。
低域が他よりかなり軽く薄いことは否めないが、そのおかげでボーカル帯域が際立ち歌が自然に前に出てくるというのは、キャラソンとしては美味しいとも言える。まあ良くも悪くもすかっとした音調だし音場だ。
・テイルレッド×XBA-100 相性評価:○
XBA-100はすっきりかっちりと綺麗に整えた表現。ソーラたん的な成長を感じさせるイヤホンだ。特に際立つのはシンバルの音色のよさ。ハイハットシンバルのシャープでいて薄っぺらくない音色、落ち着いた輝き、それによって刻まれる細かなリズムの心地よさが抜群だ。終盤の静かな場面でのピアノの硬質な透明感もよい感じ。しかしギターについては、音色が整いすぎて荒いエッジでの迫力が落ち着いてしまう感は少しある。
対して低域の深みやボリューム感は控えめだが、音楽全体の重心が高くなりすぎるほどではない。全体に音像が綺麗にコンパクトで空間にすっきり感があるのも美点だ。まあソーラたんっぽいという表現になる時点でテイルレッド感は薄れてしまっているわけだが、しかしソーラたんもまた魅力的であることも否めない。
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