4Kを超える4Kテレビ
8K解像度の実力とは? シャープ “AQUOS 4K NEXT”「80XU30」を徹底チェック
■自発光か反射光かを分析し最適な映像処理を行う
筆者が最も気になったのが「メガコントラスト」ダイナミックレンジ拡張技術だ。機能的には、トレンドであるHDR(ハイダイナミックレンジ)と考えて差し支えないが、ここでもシャープの独自性に注目したい。
搭載している液晶パネルは、VA方式をベースに、シャープが磨き上げてきた高コントラスト性能が光る。バックライトには、グループ内で開発する高演白で高輝度なテレビ用品を用い、ローカルディミング時に大切な輝度ピークの突き上げもパワフルだ。
その上、ダイナミックレンジの拡張には独自のアルゴリズムを採用し、これは単純に明暗差を大きく広げるものではなく、映像の輝度分布を解析し、画柄の中で明るい部分が太陽や電灯のような自発光の光であるか、または物体を反射した光であるかを見極めた上で処理を施す高度な仕組みを持つという。
詳しくは画質インプレッションとして後述するが、ピーク輝度の高さによるコントラスト性能と自然なハイダイナミックレンジ映像は特筆に値するもので、基礎技術の積み重ねや新技術の融合が感じられる仕上がりだ。
■クアトロンパネルと新蛍光体採用LEDで広い色域を実現した
4K放送時代を迎え、広色域がトレンドなのは周知の事実だが、ここでもシャープはオリジナリティーを発揮している。
「新リッチカラー」は、高演色の白色LEDとRGBYのサブピクセルを持つクアトロンパネルの組み合わせで、SOCS物体色分布を広くカバーする実効的な広色域性能を獲得している。その仕組みは、Y(黄)のサブピクセルを持つクアトロンでは、黄色のカバー範囲を拡大しつつ、G(緑)の色度点を移動させてシアン色のカバー範囲も広げるというものだ。
SOCS物体色分布とは、実際に存在する約5,000の物体の色情報を収集したISO/JIS規格における色再現評価用のデータベースである。このデータベースによると、分布はシアン色方向に広がる傾向があり、海や空の碧さを想像すれば納得できる。BT.2020の色域を100%表現できるディスプレイが存在しない現在において、実効的に出現し得る色をカバーできるユニークなアイデアと言える。
パネル表面は、昨年モデルから採用されて好評の「N-Blackパネル」が採用された。「N-Blackパネル」は、屈折率が連続的に変化する特殊素材が使用されていて、外光や風景がクッキリと映り込みにくく、明室でも黒が締まって見える特性を備える。また、表面が平滑で黒に艶を感じさせつつ、付着してしまった指紋などの皮脂も拭き取りやすいなどのメリットがあり、一般家庭で安定した高画質を期待できる。