海上忍のラズパイ・オーディオ通信(1)
5,000円の手のひらコンピュータ「Raspberry Pi」で自作オーディオを始めよう!
■チューニングが効くという楽しさ
肝心の音はどうなのかという話だが、これが予想以上にいい。基板がまる見えのアクリル製ケースというオーディオ機器とは認めがたい外見だが、OS(Linux)のオーディオ再生部にあたるALSAはボリューム調整をハードウェア制御にしてしまえば理論上ビットパーフェクトな再生環境となるため、出力先のオーディオデバイスに音の性格付けを一任できる。
OPPO HA-2やaudio-technica AT-PHA100などいくつかのUSB-DACを試したが、PCから出力するときよりそれぞれの個性に気付きやすくなるのは、送り出し側の自己主張しない(もちろんアップサンプリングなどで主張させることも可能だが)キャラクターゆえだろう。
電源部が完全に分離していることもポイント。しかもUSB micro-B(5V)で足りる低消費電力設計のため、ポータブルバッテリー1台で電力を賄えるのだ。
ふだんは13,000mAhのバッテリーを利用しているが、セルフパワーのUSB-DACで、まる1日近くハイレゾ音源の再生を続けてもなお残量があるほどの余裕ぶり。PCを使った再生では、こうは行かない。
簡素な設計のためか、各種チューニングが"効きやすい"という特性もある。たとえば、ノイズ低減に効果があるUSBパワーコンディショナ(Panasonic VEK0V15B)をUSBポートに挿すと、明らかに音の印象が変わる。音場の広がりと見通しが改善され、薄皮を1枚剥いたかのようだ。USBケーブルの交換も効果的で、しかもその振れ幅が大きい。自作する必要があるが、ケースの交換も有効だろう。