【特別企画】DXD/DSD128対応ハイレゾ機の魅力はどこに?
コウォンのハイレゾDAP「PLENUE 1/PLENUE M」を読者が体験。じっくり使って分かった“生の声”
好みのイコライザー設定を見つけることが出来ればかなり魅力的なDAP
杉山さん
■試聴環境
イヤホン:acoustic effect ysm-03
ヘッドホン:Grado PS500e
普段、使用してるDAPはAstell&Kern AK120です。
■デザイン
角ばったデザインには高級感がありとても良い。個人的にはPLENUE 1のマットな仕上げの方に魅力を感じた。PLENUE Mの方には専用ケースが付属しないようだが、販売の予定があるのか気になるところ。しかし、サイドのボタンの凹凸が少ないため、実際使う際にはケースが無い方が使いやすそうだとも思った。
■使い勝手
まず、UIの快適性には舌を巻いた。非常にスルスルと動くので快適だ。画面の移り変わりもスムーズでストレスがない。何ならiPhoneよりも速いんじゃないだろうか?この点は他メーカーのDAPと比較しても間違いなく優位である。
何かと画面を操作することが多いDAPにおいて、操作が快適というのはとても大切なことだと思う。
■音質
まず、PLENUE 1とPLENUE Mの比較から。イコライザーなどをオフにして比較すると当然といえば当然だがPLENUE 1の方が音が良いと感じた。PLENUE 1には音に立体感を感じるし、音の輪郭が明確だった。これは一聴すればすぐに分かる差なので、購入を考えているユーザーが困ることはなさそうだ。
PLENUEの両機種を聴いて思ったことは、このDAPは音楽との付き合い方を問われる機種だということだ。具体的に言えば、PLENUEの音の魅力は「イコライザーにある」と言って間違いないと思う。
ゆえに、音にイコライザーをかけて聴くという行為を許せるか、許せないかでPLENUEシリーズの評価は全く違うものになる。原音再生原理主義者の方には決して受け入れられないだろうが、あくまでリスニングを楽しむというスタンスの方にはとても良い機能であると思う。
というのも正直なところ「PLENUEの素の音」(イコライザー Natural)は、AKシリーズの音づくりに勝っているかというと疑問がある。特にPLENUE Mの素の音は、音の輪郭が優しい音になっているので、AKのカッチリした音に比べるとボヤケていると思う人も多いかもしれない。
しかしながら、そんなPLENUE Mの音がイコライザーをかけると全く変わって聴こえる。私はROCKを主に聴くのでイコライザーを「ROCK」にしたところ、低音と高音が持ち上がって非常にノリの良い音になった。驚いたのはイコライザーを変えることでゲイン(音量)も変化することだ。「ROCK」に設定すると音量がかなり上がった。
なぜイコライザーによって音量が変わるのかはいささか腑に落ちないところもあるが、ゲインもイコライザーの調整対象だということなのかもしれない。できればイコライザーによって音量を変えないで頂けると、比較がしやすく好みの設定を見つけやすいので、考慮いただきたい。
個人的にイコライザーは、「ROCK」「BBE Headphone」「BBE」の順で気に入った。コーラスとリバーブのイコライザーは音楽そのものが変質してしまうので使いどころが分からなかった。どういった使用用途を想定しているのか伺ってみたい。(個人が作曲や録音した音源で遊んでくれということなのだろうか?)
好みのイコライザー設定を見つけることが出来れば、PLENUEはかなり魅力的なDAPになると思う。低音を増強した音を出すことも可能だし、聴く音楽によって最適な設定をすればかなり良い音を出してくれる。ある意味で、オールジャンルに対応したDAPということができそうだ。
ただ問題になる点を考えるとすれば、先に書いた通り「イコライザーを認めるか認めないか」という問題だろう。それに曲ごとにイコライザー設定を変えるのも人によっては煩わしいかもしれないし、イコライザーを使うことはアーティストの音づくりの意向に反していると思う人も一定数いるだろう。オーディオには根深い原音主義者がいることは間違いない。
そのことさえ問題なければ、PLENUE Mはかなりお買い得なDAPかもしれない。デザインもシンプルで、機能も問題なし。操作の快適性は随一だ。音質の設定をユーザーに任せるという他社とはまた違ったアプローチの製品だと思う。個人的には面白い製品だと思った。