ポイントは“音空間の広げ方”
ボーズBluetoothスピーカー“兄弟対決”。最上位「SoundLink III」と小型の「SoundLink Mini II」を比較
■SoundLink IIIとSoundLink Mini II 音質比較
それではまず、SoundLink IIIにiPhone 6をペアリングしたサウンドを聴く。気になるSoundLink Mini IIとの比較もしていこう。
SoundLink IIIでカーペンターズの『TOP OF THE WORLD』を再生すると、ポップスの雰囲気のなかにも“ボーズらしさ”とも呼ぶべき豊かなグルーブ感が再現される。ナチュラルに音空間を広げつつ、肉厚な中域で押すタイプ。決して分解能に突っ走るタイプではないが、自然で聴き疲れしないサウンドで“70年代の空気感”まで伝えてくれるようだ。
ダフトパンクの『Random Access Memories』を聴くと、ズシリと沈み込む重低音が、文字通り部屋全体が震動するほど強烈なエネルギー感を持って響く。このクラブハウスのようなサウンドが、目の前にあるSoundLink IIIの筐体から繰り出される様は圧巻。ビートの刻みが振動として伝わってくる。
続いて、同じ楽曲を最新モデルSoundLink Mini IIでも聴いてみた。まず、低音はSoundLink IIIに迫る再現性だ。重低音のグルーブ感やビートの刻みといった“ボーズらしさ”も、SoundLink IIIに共通して十分に感じられた。
では、2機種のサウンドの違いは何かというと、音空間の広げ方にある。上位のSoundLink IIIの方は小型ステレオスピーカーのように空間に余裕があるのに対して、SoundLink Mini IIはワンポイントで鳴らすようなイメージ。SoundLink IIIと比較してしまうと、ボーカルとバンドの演奏部の描き分けが甘くなるといえる。結果、特に音数の多い楽曲では、上位のSoundLink IIIの方がより正確にそのサウンドを再現できている。
昨今のBluetoothスピーカーのトレンドの1つは“重低音重視”であり、最新モデルSoundLink Mini IIはまさに直球ど真ん中な製品と言えるだろう。だが音楽好きなら、アーティストが音源に秘めたサウンドのより多くを聴き取りたい願望もある筈。ワンサイズ上、ワンランク上のSoundLink IIIは、そんな“音楽好き”が選ぶBluetoothスピーカーとしてより良い選択肢の1つといえるだろう。
(折原一也)