エントリーながら2機種ともアトモス/DTS:X対応
デノンのAVアンプ入門機、選ぶならどっち? 超ハイC/P「X1200W」と高音質モデル「X2200W」を比較
■まずはエントリーモデル「AVR-X1200W」のサウンドをチェック
というわけで7.2ch構成は共通。スペック上は僅差のAVR-X2200W/X1200Wだが、価格上の開きは27,500円と意外に大きい。映像/音楽ソフトの再現性に関して価格差がどう反映されるか興味が持たれるではないか。試聴はまずX1200Wから。アトモス再生は次の機会に譲り、今回はチャンネルレベル5.1/7.1chのソフトを試聴した。
最初に感心したのはセンターチャンネルに力があることだ。アニメ映画『花とアリス殺人事件』は96kHz/24bitで音声を収録しているが、セリフに切れと厚みがある。ロープライス機の場合、センターが貧弱な場合があるが本機は違う。本作は実写映画「花とアリス」の前日譚で、前作の主演女優・蒼井優と鈴木 杏が吹き替えを担当。主人公のアイデンティティは2人の声の質感表現如何というわけだ。本機はS/Nが良くその点をクリアしたばかりでなく、セリフにハイレゾらしい奥行きと立体感とがあり、実写感覚に近づけるためのシークエンス毎の音場の変化が打てば響くように出る。
『バードマン』はDTS-HDマスターオーディオ48kHzの通常音声だが、音質にこだわったソフトだ。AVR-X1200Wで再生するとセンターチャンネルに力と量感があり、モノローグも米国映画らしく聴き手に向かって鮮明に飛んで来る。セリフが全体の中でつねに埋没しない。主人公の心理的な内圧の高まりを伝えるようにドラムソロがフロントセクション全体で立体的に鳴り響くが、これにはもう少し帯域がほしい。しかし音にキレがありデノンらしい力感が常に味わえる。
3DCGアニメ『九十九』は、軽快でスピード感あるサラウンドが楽しめた。全chディスクリートの利を発揮して7.1ch再生のバランスは良好。前世代機に比べノイズフロアがかなり下がったようで、SEに付けられた細かな響きも漏らさず再現する。「静」を巧みに表現する一方「動」も疎かになっていない。アクション音がハイスピードで元気よく、聴き手に向かってビュンと飛んで来る。ドルビーサラウンド再生をしなくとも雨音はちゃんと頭上から降り注ぐ。鮮度とキレがある一方、デノンのアンプらしい面の押し出し感も具わっている。
音楽ソフトはどうだろうか。PCM192kHz/24bitのBD Musicソフト『至高のコンサートグランド ファツィオーリF278』はハイレゾらしいダイレクト感と倍音の伸びが楽しめる。しかし帯域がやや物足りなく、ローエンド手前で行儀よくまとめてしまう印象がもどかしい。
リンダ・ロンシュタッドの1980年代名盤のアーカイブ『ホワッツ・ニュー』(FLAC192kHz/24bit)。オケが前に出て元気よく立体的に描写され爽快。ただ、金管総奏にもっとなめらかさと艶があるといいとも感じた。ベースを始めとする低音楽器の描写にもっと厳しい解像感があると音場の奥行きが増すが、もう一歩という所に止まるのが惜しい。
というわけで7.2ch構成は共通。スペック上は僅差のAVR-X2200W/X1200Wだが、価格上の開きは27,500円と意外に大きい。映像/音楽ソフトの再現性に関して価格差がどう反映されるか興味が持たれるではないか。試聴はまずX1200Wから。アトモス再生は次の機会に譲り、今回はチャンネルレベル5.1/7.1chのソフトを試聴した。
最初に感心したのはセンターチャンネルに力があることだ。アニメ映画『花とアリス殺人事件』は96kHz/24bitで音声を収録しているが、セリフに切れと厚みがある。ロープライス機の場合、センターが貧弱な場合があるが本機は違う。本作は実写映画「花とアリス」の前日譚で、前作の主演女優・蒼井優と鈴木 杏が吹き替えを担当。主人公のアイデンティティは2人の声の質感表現如何というわけだ。本機はS/Nが良くその点をクリアしたばかりでなく、セリフにハイレゾらしい奥行きと立体感とがあり、実写感覚に近づけるためのシークエンス毎の音場の変化が打てば響くように出る。
『バードマン』はDTS-HDマスターオーディオ48kHzの通常音声だが、音質にこだわったソフトだ。AVR-X1200Wで再生するとセンターチャンネルに力と量感があり、モノローグも米国映画らしく聴き手に向かって鮮明に飛んで来る。セリフが全体の中でつねに埋没しない。主人公の心理的な内圧の高まりを伝えるようにドラムソロがフロントセクション全体で立体的に鳴り響くが、これにはもう少し帯域がほしい。しかし音にキレがありデノンらしい力感が常に味わえる。
3DCGアニメ『九十九』は、軽快でスピード感あるサラウンドが楽しめた。全chディスクリートの利を発揮して7.1ch再生のバランスは良好。前世代機に比べノイズフロアがかなり下がったようで、SEに付けられた細かな響きも漏らさず再現する。「静」を巧みに表現する一方「動」も疎かになっていない。アクション音がハイスピードで元気よく、聴き手に向かってビュンと飛んで来る。ドルビーサラウンド再生をしなくとも雨音はちゃんと頭上から降り注ぐ。鮮度とキレがある一方、デノンのアンプらしい面の押し出し感も具わっている。
音楽ソフトはどうだろうか。PCM192kHz/24bitのBD Musicソフト『至高のコンサートグランド ファツィオーリF278』はハイレゾらしいダイレクト感と倍音の伸びが楽しめる。しかし帯域がやや物足りなく、ローエンド手前で行儀よくまとめてしまう印象がもどかしい。
リンダ・ロンシュタッドの1980年代名盤のアーカイブ『ホワッツ・ニュー』(FLAC192kHz/24bit)。オケが前に出て元気よく立体的に描写され爽快。ただ、金管総奏にもっとなめらかさと艶があるといいとも感じた。ベースを始めとする低音楽器の描写にもっと厳しい解像感があると音場の奥行きが増すが、もう一歩という所に止まるのが惜しい。