【連続企画 後編】様々な映像ソースで音質をチェック
ソニーのワイヤレス5.1chシステム「HT-RT5」の音質は? 折原一也が実力に迫る
HT-RT5が「サウンドフィールド」として特別なモードを用意しているのがスポーツ観戦、特にサッカーだ。
今回HT-RT5で観戦したのは、BS1で放送されていたバイエルン・ミュンヘン v.s. マインツの試合。テレビ中継されているサッカーの試合はステレオで、アナウンサーの実況と解説者の声入りだが、「サウンドフィールド」から「サッカーモード」を有効にすると、テレビ中継らしい実況はそのままに、スタジアムの歓声が背後から沸き上がるようなサラウンドとして再生され、一気に臨場感が高まる。
さらに「ナレーションOFF」にすると、約5秒程度でじわじわと実況のみが消えていき、サポーターによる歓声のみが聞こえるようになる。包み込むような熱狂が広がり、スタジアムさながらの臨場感が伝わるようだ。
テレビで放送されている歌番組も、HT-RT5が得意としているジャンル。NHKの音楽番組「The Covers」をサウンドフィールド「ミュージック」で聴いてみると、本来の音そのままに、クリアなサウンドで再生してくれる。さらに、「ミュージックアリーナ」の設定を選ぶと、ド派手なコンサート会場のような、空間が音楽に満たされるライブ感と歓声の付いたライブ感たっぷりに鳴らしてくれた。
■音楽再生に使うのも充分“アリ”。実はハイレゾ音源も再生可能
HT-RT5は音楽用スピーカーとして使うこともできる。一番利用機会が多いのはスマホとNFCのワンタッチで接続できるBluetoothのワイヤレスだろう。特にXperiaやウォークマンと組み合わせると、「LDAC」コーデックによって最大でSBCコーデックの約3倍というデータ量での高音質ワイヤレス伝送が行え、ベストマッチの組み合わせだが、他にもハイレゾ音源を再生する方法が存在する。
HT-RT5には「Hi-Res Audio」のロゴは付けられていないが、実はハイレゾ音源の再生自体には対応している。HT-RT5にハイレゾ音源を入れたUSBメモリやハイレゾ対応ウォークマンをセットすると、接続したテレビの画面操作、または「SongPal」のアプリ操作によってハイレゾ音源の再生もできてしまうのだ。そこで実際にハイレゾ再生のそのサウンドを確かめてみた。
まず、筆者がいつも聴いているDaftPunkの『Random Access Memories』。電子音楽ではHT-RT5の低音のビートの刻みが歯切れ良く、ボーカルもクリアで、コンポとしても使えると感じるほど音楽再生に適している。カーペンターズの『The Singles: 1969〜1981』の歌声も空間の中に瑞々しく響き、ベースもタイトに締まり心地良い。テレビの前にスピーカーを置いているため音の高さも出てくるので、音楽観賞用に使うというのは充分に“アリ”だ。
映画BDにテレビ放送、そして音楽まで家中にある音源をHT-RT5で聴き尽くしてみると、リアル5.1chにしかできないリアルなサラウンド、そして音楽再生でも通用する確かな実力を持つホームシアターシステムとわかった。リビングで映画、そして音楽を本格的に楽しみたいのなら、お勧めモデルとして太鼓判を押したい。