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ケーブルブランドの雄が待望のイヤホン参入

SUPRA初のイヤホン「NiTRO」レビュー。独自ケーブルや特許技術搭載リモコンマイク採用

公開日 2015/11/30 11:02 高橋 敦
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ハイハットをはじめとしてシンバルの感触も良好で、ニュアンスとしては中低音楽器のそれと似ている部分もある。どういうことかというと、高域を硬質なシャープさにはせずにふわっとほぐしてくれるのだけれど、だからといって高域がぼやけることはなく、精密感も確保されている。これもやはりうまい兼ね備えさせ方であり、バランス感覚がある。

その「ふくよかさやほぐれを出しつつも精密感を損ねない」という音作りには、同社のケーブルの印象とも重なるところがある。ブランドとしての一貫性を感じられ、そこも好印象だ。

プレーヤーの素性に敏感に反応。SUPRAらしさも継承する

ロックやポップスでも中域の肉感や高域の刺さりの程よいソフトさなど、上記の印象がボーカルにもおおよそそのまま当てはまる。楽器のバランスとしてはベース、つまり低音楽器が少し強めかもしれないが、聴き始めの時点で「少し」強いかなという程度であり、むしろこうした音調を好む方は多いだろう。

試聴ではNiTROをAstell&Kern「AK120II」やiPhoneと組み合わせた

プラグはL字型のステレオミニ端子を採用

特にフィットすると感じた曲としては、Daft Punk「Get Lucky」を挙げておきたい。このイヤホンはルックスはクール系だが、サウンドはクールでもハードでもなく、要所を押さえたおおらかなグルーヴの表現も得意。この曲を含めて、70年代から80年代当時のファンクやソウル、そのフィーリングを取り入れた現在のサウンドあたりには特にうまくはまってくれると思う。

リモコン&マイク付きモデルなので、iPhone 6との組み合わせも試してみた。プレーヤー側での抑えが弱まるためか、低音のふくよかさと高音のほぐれがやや強まる印象だ。もちろん音の方向性は同様なので、「普段はスマートフォン直結、時にはポタアンを挟んだり別途のプレイヤーを使ったり」といった使い分けをしても違和感なく楽しめる。逆に言えば、そういった使い分けをしたときにはちゃんと音の違いを出してくれる潜在能力を備えている。

◇◇◇


従来のSUPRA的ではないルックスに最初は少し戸惑いを覚えたが、聴けば納得。新たに挑戦するイヤホンというジャンルに現在求められる要素は取り入れつつSUPRAの「らしさ」も継承する、鮮やかなデビュー作だ。

(高橋 敦)

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