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【特別企画】マルチチャンネル再生の音質を聴く

【レビュー】ELACから登場、5.5万円〜のエントリー機「Debut LINE」は“あの名匠”の自信作

公開日 2015/12/04 11:00 鴻池賢三
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Bluetoothによる音場補正対応のサブウーファーを用意

サブウーファーは2モデルをラインナップする。上位「S10EQ」は、正面に10インチのベース・ドライバー、底面に10インチのパッシブラジエーターを備え、400Wのハイパワーで駆動する。

「S10EQ」¥100,000(税抜)

底面部にはパッシブラジエーターを搭載

さらには10万円という価格ながら、同社のハイクラスサブウーファー「SUB2070」(関連ニュース)に搭載されて話題になった「Advanced Bluetooth Control」を採用したことも大きな特徴だ。スマートフォンやタブレットから専用アプリ「ELAC Sub EQ App」を使って、主に定在波に由来する視聴ポイントでの周波数特性の乱れを改善してくれる。その他、アプリを使えばボリュームやフェーズも遠隔操作できるため、本体を隠して設置することも容易なことから、スタイリッシュなホームシアターを作り上げるにも役に立つ。

下位の「S10」は価格が5.5万円と、本格的な仕様ながら手軽な価格を実現したことが魅力。底面の10インチのウーファーを備えるバスレフ方式で、200Wのパワーを備える。外形寸法はS10EQと同じだ

「S10」¥55,000(税抜)

本機は底面部にドライバーユニットを搭載。本体正面にバスレフユニットを備える

なお、ドルビーアトモス用のイネーブルドスピーカー「A4」も発売を予定。ウーファーには4インチの「Woven Aramid-Fiber Woofer」を採用し、シリーズ製品との整合性が図られている。

「A4」¥50,000(税抜)

マルチチャンネル再生では制動力の高さと瞬発力で立体的な空間を再現

今回はDebut LINEで構築したマルチチャンネル・システムのクオリティを、サブウーファーの性能/ユーザビリティーと共にレポートしたい(2ch再生のクオリティー詳細については、第二回目のピュアオーディオ再生検証編に譲りたい)。

フロント左右に「F5」、センタースピーカーに「C5」、リアスピーカーに「B5」、サブウーファーに「S10EQ」という布陣で、映画BDを中心に試聴した。なお、今回はイネーブルドスピーカー「A4」が間に合わず、5.1chでの試聴となった。

Debut LINEで構築した5.1chシステムで映画/音楽BDを再生。サラウンド再生能力を検証した

このシステムでは、前述の通りトゥイーターとウーファーは全て同一ドライバーということになる。BD『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、冒頭シーンをアトモス環境で再生すると、子供の声が頭上を浮遊する不思議な感覚が聴きどころ。5.1chではどうだろうかとDebut LINEで再生したところ、アトモス再生に近似した空間の広がりと高さの再現が体感できた。天井スピーカーがあるのではと、思わず見上げてしまったくらいだ。おそらく、高精度に整った同一スピーカーユニットを用いることによるメリットと言えるだろう。こうした基本性能の高さは、派手なパンニングや定位を強調しないシーンでも、自然な空間の広がりとして感じることができる。

サラウンドスピーカーには「B5」を用いた

音楽の表現能力も確認すべく、BD『CHICAGO』を試聴。のっけの「オール・ザット・ジャズ」はトロンボーンの艶めかしさが際だって惹き付けられる。従来のELACのスピーカーが持つ解像感やキレの良さに、ウォームで厚みのある音調が加わった印象だ。同社スピーカーの魅力のひとつであるスピード感はきちんと残されていて、曲全体がテンポ良く躍動感に満ちて進行する。時折訪れるミュートは後を濁さず、音のコントラストによって自然とステージに惹き込まれて行った。瞬発力の高さと引き込みの素早さ、余韻のクリーンさは、ウーファーに採用されたアラミド素材の恩恵が大きいはずだ。スピーカー固有の音色を排除することは、サラウンドサウンドで空間を再現する上で、重要な要素であるのは言うまでもない。

参考までに2chでハイレゾ音源も試聴したが、音離れの良さは大人しいルックスからは想像できない非凡さを感じるもの。均整の取れたサウンドも然り、価格以上の価値を感じさせる完成度だ。

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