<山本敦のAV進化論 第77回>
プロジェクター内蔵タブレットは動画視聴にどこまで使える? レノボ「YOGA Tab 3 Pro 10」を試す
内蔵バッテリーは容量が8,400mAhとかなり大容量だが、映像を投射中はバッテリーのゲージが1分で1%ほど減るペースだったので、2時間前後の映画を楽しむなら、本体を電源プラグにつないだ方が落ち着いてみられるだろう。
スピーカーから出力される音声も迫力十分。ドルビーアトモスのアプリからセリフを強調する「ダイアログエンハンサー」をオンにしたり、マニュアルで細かくイコライザーを調整することもできる。映画を鑑賞する際には基本的に機能をオンにしたままで使うべきだ。
本機はプロジェクター内蔵のタブレットという、どちらかと言えば軽快に楽しみたいデバイス。そこからすると、しっかりとした立ち上げ式のスクリーンを用意しても良いが、自宅だけでなく旅行で出かけたホテルの壁面などを活用して気軽に楽しんでこそ、本機を巧みに使いこなしている実感が高まってくると思う。
本機を使ってみて、寝る前にベッドルームの天井に映像を映しながらdTVのコンテンツが楽しめたのは大きな収穫だった。ただ、タブレットなので本体が軽いのは良いのだが、さすがに腹の上あたりにタブレットを抱えた状態で天井に向かって投射し続けるのは辛い。レノボには本機を垂直に立てて天井に向かって投射するための専用スタンド的なオプションを用意して欲しい。
今回は「YOGA Tab 3 Pro 10」のプロジェクター機能を中心にチェックしたが、ほかにも普通の鉛筆やボールペンをそのままスタイラスとして使いながら、画面に文字を書き込んだり図形をドローイングできる「AnyPenテクノロジー」など、ビジネス用途での使い勝手も悪くないタブレットだ。LTEモデルならSIMを装着して、外出先での定額制動画・音楽やコミュニケーションアプリ、ビデオ通話などにも用途が広げられる。
今年はソフトバンクからLTE対応のモバイルプロジェクター(関連ニュース)が発売され、パナソニックもSIMカードが装着できるスマホのようなデジカメ「DMC-CM1」(関連ニュース)が人気を博した。
折しも本日、SIMカードスロットを設けたVAIOの11.6型ノートPCの新機種「VAIO S11」、および、VIAO(株)もMVNOサービスに乗り出すことが発表された。
このように、“格安SIM”への一般的な注目度が高まるにつれ、これまでスタンドアローンで使うことが前提だったAV機器が無線WAN通信機能を取り込むことで、使い勝手やサービスの面でさらに一皮剥けるような予感もある。
来年は定額制音楽配信サービスが快適に楽しめるSIMスロット内蔵オーディオ専用ポータブルプレーヤーなどが出てくることにも期待している。