旗艦モデルやHi-Fiアンプの技術を継承
【レビュー】デノン「AVR-X4200W」 - アトモス/DTS:Xをとことん鳴らせるミドルクラス機
ドルビーアトモスやDTS:Xなど新サラウンド方式に対応するAVアンプの購入を考えた際、性能と価格のバランスという点でミドルクラスのAVアンプは現実的な候補となる。中でもデノン「AVR-X4200W」は、フラグシップ機やHi-Fiアンプのノウハウが注入され、音質はもちろん、将来的な拡張性も備えたモデルと言える。2月18日よりDTS:Xにアップデート対応することも本日アナウンスされた(関連ニュース)。本機の実力を山之内 正がレビューする。
オブジェクトオーディオの概念を導入することで、サラウンド再生は新たな表現領域に入った。だが、そのポテンシャルを確実に引き出し、高度な3次元表現の効果を実感するためには、どのグレードのAVアンプを買うべきなのか、答えを見出すのは意外に難しい。フラグシップ級の製品なら確実かもしれないが、アンプとのバランスを考えてスピーカーを選ぶと、システム全体の予算が一気に跳ね上がってしまう。一方、最近は普及グレードにもドルビーアトモス対応機が出てきたが、拡張性やアンプ性能に不満を感じることはないのか、気がかりだ。そうして性能と価格のバランスを考えながら絞り込んでいくと、結局はミドルクラスのAVアンプが候補として浮かび上がってくる。
AVR-X4200Wはデノンのミドルクラスを担う重要な製品だ。全7チャンネル同一仕様かつディスクリートで構成したパワーアンプは、チャンネルあたり125Wの出力を確保し、下位機種に比べて3割以上の余裕がある。また、ドルビーアトモスに加えてDTS:Xにも2016年1月末からアップデートでの対応を予定しており(関連ニュース)、オブジェクトオーディオ導入を視野にスピーカー増設を狙うリスナーにとって、有力な候補になりそうだ。
7チャンネルアンプの配分は、5.1.2chが標準で実現できるほか、プリ出力端子を利用してステレオアンプを1台追加すれば、7.1.2chまたは5.1.4chなど、前作のAVR-X4100Wと同様にさまざまなスピーカー構成が利用できる。トップスピーカーとハイトスピーカーの組み合わせも選択肢が多数用意されているので、実際のリスニング環境に合わせて最適な配置を選べるメリットが大きい。さらに、追加するアンプをフロント左右にアサインする機能も組み込まれているので、手持ちの大出力パワーアンプでメインスピーカーを駆動する方法も選べる。そうした柔軟なアンプの割当ては、プリアウト端子を省略した低価格モデルでは真似できない機能なので、まずは5.1chを導入し、いずれ5.1.4chや7.1.2chを視野に入れてスピーカーを増設するなど、将来の拡張性を重視するシアターファンにうってつけだ。
DSPは前作と同様にSHARCを4基搭載して演算能力に十分な余裕を確保。音質の決め手となるDACは今回から32bit仕様に格上げされ、心臓部の構成は上位機種AVR-X7200Wと共通する部分が多い。ハイレゾオーディオは、ネットワーク再生に加えてUSBメモリーでもDSD2.8MHz音源の再生ができるなど、対応ファイル形式は実用的な範囲をカバーしている。映像関連ではすべてのHDMI端子でHDCP2.2対応を果たし、UHD BD信号の伝送をサポートした点が新しい。
次のページでは、最初にCD/SACDでステレオ音源を再生し、アンプの基本性能を確認していこう。
オブジェクトオーディオの概念を導入することで、サラウンド再生は新たな表現領域に入った。だが、そのポテンシャルを確実に引き出し、高度な3次元表現の効果を実感するためには、どのグレードのAVアンプを買うべきなのか、答えを見出すのは意外に難しい。フラグシップ級の製品なら確実かもしれないが、アンプとのバランスを考えてスピーカーを選ぶと、システム全体の予算が一気に跳ね上がってしまう。一方、最近は普及グレードにもドルビーアトモス対応機が出てきたが、拡張性やアンプ性能に不満を感じることはないのか、気がかりだ。そうして性能と価格のバランスを考えながら絞り込んでいくと、結局はミドルクラスのAVアンプが候補として浮かび上がってくる。
AVR-X4200Wはデノンのミドルクラスを担う重要な製品だ。全7チャンネル同一仕様かつディスクリートで構成したパワーアンプは、チャンネルあたり125Wの出力を確保し、下位機種に比べて3割以上の余裕がある。また、ドルビーアトモスに加えてDTS:Xにも2016年1月末からアップデートでの対応を予定しており(関連ニュース)、オブジェクトオーディオ導入を視野にスピーカー増設を狙うリスナーにとって、有力な候補になりそうだ。
7チャンネルアンプの配分は、5.1.2chが標準で実現できるほか、プリ出力端子を利用してステレオアンプを1台追加すれば、7.1.2chまたは5.1.4chなど、前作のAVR-X4100Wと同様にさまざまなスピーカー構成が利用できる。トップスピーカーとハイトスピーカーの組み合わせも選択肢が多数用意されているので、実際のリスニング環境に合わせて最適な配置を選べるメリットが大きい。さらに、追加するアンプをフロント左右にアサインする機能も組み込まれているので、手持ちの大出力パワーアンプでメインスピーカーを駆動する方法も選べる。そうした柔軟なアンプの割当ては、プリアウト端子を省略した低価格モデルでは真似できない機能なので、まずは5.1chを導入し、いずれ5.1.4chや7.1.2chを視野に入れてスピーカーを増設するなど、将来の拡張性を重視するシアターファンにうってつけだ。
DSPは前作と同様にSHARCを4基搭載して演算能力に十分な余裕を確保。音質の決め手となるDACは今回から32bit仕様に格上げされ、心臓部の構成は上位機種AVR-X7200Wと共通する部分が多い。ハイレゾオーディオは、ネットワーク再生に加えてUSBメモリーでもDSD2.8MHz音源の再生ができるなど、対応ファイル形式は実用的な範囲をカバーしている。映像関連ではすべてのHDMI端子でHDCP2.2対応を果たし、UHD BD信号の伝送をサポートした点が新しい。
次のページでは、最初にCD/SACDでステレオ音源を再生し、アンプの基本性能を確認していこう。