[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第141回】高橋敦が選ぶ「ポタフェス2015」“超”個人的ベスト5!
【第1位】UE Pro Reference Remastered
「カスタムイヤモニでフラットなやつのおすすめは?」と聴かれた際の間違いの少ない答えとして「UERM(UE Reference Monitor)」は定番だったように思う。その後継機が「UERR(UE Pro Reference Remastered)」だ。
つまりこちらも「MK2」的なモデル。「MK2」が開発されるのは初代モデルが好評だった証でもある。
初代機と同じく(ステージモニターではなく)スタジオリファレンスの用途を意識して、アメリカはキャピトル・スタジオとの協業でチューニングされている。ドライバー構成もいまや古典的とさえ感じる、低・中・高域にBA各1機の3ドライバー3ウェイ。
今回のアップデートの目玉は同社曰く「True Tone Drivers」な新型のBAドライバーを搭載することだ。これによって18kHzまでのフラットレスポンスを実現しているとのこと。
僕が使用しているUERMはもちろんカスタム、対して会場で試聴できたのはもちろんユニバーサル化した試聴機なので、厳密な比較はできない。以下の印象はそれを前提にしつつ受け取っていただければと思う。
RMは高域においてドライ傾向で質感の強いシャープさを持ち味としていたと思う。対してRRはそのシャープさは継承しつつドライさは薄め、よりナチュラルな印象だった。端的に言えば、ボーカルやシンバルの刺さり具合が僕にはより好ましく心地よい感触になってくれていた。超高域が綺麗に伸びているおかげだろうか。
全体としてもRMの音を擬人化すると「くくく…これが俺が手に入れた力!タイトで無駄のない最強のサウンドだ!」みたいなキャラだったのが、こちらRRは人間的に一歩進んで「少しの遊びがあってもいいし、最強じゃなくてもいいじゃない?」といった、ちょっとした余裕や達観を感じられる気もした。
シリーズ初代主人公が人間的に成長して、新シリーズでは一歩引いたところから新主人公を見守れるようになったみたいな感じでもある。あくまでモニター系の範疇でだが、先代よりはリスニング寄りになったと言えるかもしれない。
とはいえそれは比較対象が超ガチサウンドのRMでこちらは試聴機という条件での話で、一般論としてはこの新モデルRRも十分すぎるほどにガチなリファレンスモニターサウンドだ。
とにもかくにも、BA型3ドライバー3ウェイという「The Standard」な感じのCIEMとして現時点での決定打のひとつになり得るのではないか。そんな可能性を感じさせられた試聴だった。
■さいごに
ということで今回も収穫の多いポタフェスだった。あえて今後の課題を挙げるなら、「いやあんな吹きっさらしに近い場所じゃ倉持さん寒すぎだろ!」という点だろうか。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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