オーディオ性能を山之内正が評価
OPPO「BDP-105D JAPAN LIMITED」の実力を検証。物量投入とチューニングで音質追求
■ディスク愛好家の期待を一手に集める日本限定仕様モデル
日本では今もあえてディスクメディアを選ぶ音楽ファンが多いが、その需要に応えるプレーヤーの選択肢は以前ほど豊富ではない。特に、SACDやBDオーディオのマルチチャンネル音声をアナログ出力で取り出せる製品となると、いまや極端に候補が少なく、BDが再生できるユニバーサルプレーヤーの一部製品に限られてしまう。
多様なディスクに対応するという条件を満たす数少ない候補のなかで、一台のユニバーサルプレーヤーにディスク愛好家の期待が集中している。オッポの既存モデルBDP-105DJPをベースに、日本の輸入元が数々の音質改善技術を投入して完成させた日本限定仕様の「BDP-105D JAPAN LIMITED(以下BDP-105DJPL)」である。
音質改善に焦点を合わせたのは理由がある。映像ディスクに主眼を置いた機器とはいえ、同社の製品は以前から音楽ファンの着実な支持を得ていた。CD、SACD、BD、DVDはもちろんのこと、いまでは対応モデルが激減したDVDオーディオまで再生できることに加え、ネットワーク再生やUSB-DACの機能も充実していて、文字通り万能のメディア対応で不動の人気を得たのだ。その半面、CDプレーヤーなどオーディオ専用機に比べると細部の追い込みや振動対策で見劣りする部分があったことも事実で、映像信号との干渉対策にも改善の余地があった。
今回の限定仕様は、そうした弱点を一つひとつ検証し、入念な改善を施したチューニングモデルである。その具体的な内容はこちらのニュースに詳しいが、振動対策及びノイズ対策に加え、精度向上のためにクロック周波数や素子の変更にまで踏み込んでいる点が目を引く。
外見上は高さが10mm弱増えているが、これはアルミ製ボトムプレートやTAOC製インシュレーターの導入に由来する。振動対策はメカブロックの天板や電源部のカバーなど内部にも複数箇所導入されているが、いずれも単なる重量付加だけではなく、重心位置を高精度にコントロールする役割も担うという。実際に従来仕様の製品に比べ、ディスクが高速で回転したときの筐体の振動は激減しており、制振性能については、ミドルクラスの音楽専用プレーヤーに引けをとらないレベルまで達している印象だ。
■ベースとなるCD再生において高水準の再現性で聴かせる
今回はBDP-105DJP Lのオーディオプレーヤーとしての性能を検証するために、さまざまな音楽メディアを再生した。ちなみに筐体やメカの振動対策は画質にもプラスの効果を生んでいるが、それについてはここでは触れないので、機会があればご自身の目で直接確認していただきたい。
実際の使用環境を想定し、再生システムはステレオとマルチチャンネルで2系統用意した。前者はアキュフェーズのフラグシップ・セパレートアンプとエラックのFS249BEを組み合わせたハイエンドシステム、後者はソニーのTA-DA5800ESとエラックの240 LINEで構成した5.1chシステムである。ピュアオーディオとホームシアター、どちらと組んでも期待に応えるパフォーマンスを発揮するかどうか、見きわめたい。
まずはCDでエルガーのチェロ協奏曲を聴く。ディスクプレーヤーを試聴する際に筆者が必ずかけるソル・ガベッタの演奏で、独奏チェロの音色、オーケストラの和音の純度やレンジ感など、確認するポイントはいろいろある。BDP-105DJP Lで聴くガベッタのチェロは、低音弦まで発音がクリアで動きが軽快だが、その一方でC線は自然倍音の重なりが生む柔らかい音色をたたえていて、その対比が鮮やかだ。第一楽章冒頭では、独奏チェロのテンポの微妙な揺らぎや陰影豊かな音色をオーケストラがマスクせず、澄んだ響きを引き出すことができた。この演奏で一番重要な部分を確実に聴き取ることができたので、CD再生の基本性能はかなり水準が高いことがわかる。
日本では今もあえてディスクメディアを選ぶ音楽ファンが多いが、その需要に応えるプレーヤーの選択肢は以前ほど豊富ではない。特に、SACDやBDオーディオのマルチチャンネル音声をアナログ出力で取り出せる製品となると、いまや極端に候補が少なく、BDが再生できるユニバーサルプレーヤーの一部製品に限られてしまう。
多様なディスクに対応するという条件を満たす数少ない候補のなかで、一台のユニバーサルプレーヤーにディスク愛好家の期待が集中している。オッポの既存モデルBDP-105DJPをベースに、日本の輸入元が数々の音質改善技術を投入して完成させた日本限定仕様の「BDP-105D JAPAN LIMITED(以下BDP-105DJPL)」である。
音質改善に焦点を合わせたのは理由がある。映像ディスクに主眼を置いた機器とはいえ、同社の製品は以前から音楽ファンの着実な支持を得ていた。CD、SACD、BD、DVDはもちろんのこと、いまでは対応モデルが激減したDVDオーディオまで再生できることに加え、ネットワーク再生やUSB-DACの機能も充実していて、文字通り万能のメディア対応で不動の人気を得たのだ。その半面、CDプレーヤーなどオーディオ専用機に比べると細部の追い込みや振動対策で見劣りする部分があったことも事実で、映像信号との干渉対策にも改善の余地があった。
今回の限定仕様は、そうした弱点を一つひとつ検証し、入念な改善を施したチューニングモデルである。その具体的な内容はこちらのニュースに詳しいが、振動対策及びノイズ対策に加え、精度向上のためにクロック周波数や素子の変更にまで踏み込んでいる点が目を引く。
外見上は高さが10mm弱増えているが、これはアルミ製ボトムプレートやTAOC製インシュレーターの導入に由来する。振動対策はメカブロックの天板や電源部のカバーなど内部にも複数箇所導入されているが、いずれも単なる重量付加だけではなく、重心位置を高精度にコントロールする役割も担うという。実際に従来仕様の製品に比べ、ディスクが高速で回転したときの筐体の振動は激減しており、制振性能については、ミドルクラスの音楽専用プレーヤーに引けをとらないレベルまで達している印象だ。
■ベースとなるCD再生において高水準の再現性で聴かせる
今回はBDP-105DJP Lのオーディオプレーヤーとしての性能を検証するために、さまざまな音楽メディアを再生した。ちなみに筐体やメカの振動対策は画質にもプラスの効果を生んでいるが、それについてはここでは触れないので、機会があればご自身の目で直接確認していただきたい。
実際の使用環境を想定し、再生システムはステレオとマルチチャンネルで2系統用意した。前者はアキュフェーズのフラグシップ・セパレートアンプとエラックのFS249BEを組み合わせたハイエンドシステム、後者はソニーのTA-DA5800ESとエラックの240 LINEで構成した5.1chシステムである。ピュアオーディオとホームシアター、どちらと組んでも期待に応えるパフォーマンスを発揮するかどうか、見きわめたい。
まずはCDでエルガーのチェロ協奏曲を聴く。ディスクプレーヤーを試聴する際に筆者が必ずかけるソル・ガベッタの演奏で、独奏チェロの音色、オーケストラの和音の純度やレンジ感など、確認するポイントはいろいろある。BDP-105DJP Lで聴くガベッタのチェロは、低音弦まで発音がクリアで動きが軽快だが、その一方でC線は自然倍音の重なりが生む柔らかい音色をたたえていて、その対比が鮮やかだ。第一楽章冒頭では、独奏チェロのテンポの微妙な揺らぎや陰影豊かな音色をオーケストラがマスクせず、澄んだ響きを引き出すことができた。この演奏で一番重要な部分を確実に聴き取ることができたので、CD再生の基本性能はかなり水準が高いことがわかる。
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