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「意外にいい音」は本当か?

LCPフィルム振動板採用、チャレンジングなヘッドホン。エレコム「EHP-R/OH2000」レビュー

公開日 2015/12/26 10:47 鴻池賢三
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続いてはハイレゾポータブルブレーヤーとして人気のAK Jrで、ポールマッカートニーの「I’m Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter」を試聴。冒頭、静けさの中でドラムのブラシが聴きどころ。本機はAK Jrの持つS/Nの高さを充分に受け止める性能を持ち、粒立ち良く沸き立つ感が楽しめる。

ポールマッカートニー「I’m Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter」収録アルバム『Kisses on the Bottom』

ハイレゾ音源ではこうした解像力の高さによる表現力の向上が魅力だが、本機はそうした特長をきちんと再現できる能力を持つことが確認できた。やはりここでも感じるのが、LCPフィルム振動板が桁違いの性能を持つということだ。ほか、音源に込められた余韻の表現力も特筆に値する。

Billy Joelの「Travelin’ Prayer」はヴォーカルにやや残響音が付加されて広がりを与えているが、消え際までスムーズに伸びる。楽曲が進行するに従って楽器が増えるアレンジで、バンジョーやバイオリンが加わって賑やかになっても、それぞれの楽器の余韻がナチュラルでうるさくならない。

微少音の立ち上がりを鋭く拾い上げ、余韻もナチュラルかつ豊かに再生。ハイレゾの美味しい部分が楽しめるヘッドホンと言える。



エレコムと聞けば誰もが知るメーカーだが、正直なところ、オーディオメーカーとしての印象は薄い。しかし今回、外観から察した通り、音質も「結構がんばってるな、かなりイケる」という印象を持った。またまた正直に言うと、定価である税込価格41,320円は高過ぎる気がするが、実勢価格は25,000円前後で推移していて、射程圏内に入る読者もいるだろう。

LCPフィルム振動板を用いたチャレンジングな製品が、この価格帯で手に入るのは選択肢として面白い。興味を持った読者は、是非一度店頭で試聴して見て欲しい。一聴する価値のある製品だ。

(鴻池賢三)

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