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<山本敦のAV進化論 第82回>

「PlayStation VR」発売間近、準備は順調! SCE吉田プレジデントが語る開発の裏側

公開日 2016/01/29 11:40 山本 敦
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「“バーチャル・リアリティ”のコンセプト自体は1960年頃にアメリカで誕生したもので、当時からCGシミュレーションの技術とともに開発・研究が進められてきました。PS VRの原理試作や基本理論はその頃に土壌が築かれたものと言えます。


やがて1990年代に入ると、映画やテレビドラマでもVRがブームを巻き起こすようになり、その言葉の認知も広がりました。一方で、90年代に入ってもまだVRを実現するためのコンポーネントやコンピューターの処理性能がコンセプトに追いついていませんでした。

アーケード版ではVRゲームも少しずつ出ていましたが、システムの価格が高価過ぎるため一般的なビジネスとしては成立しにくいものでした。でも、その頃からVRにかかわるクリエイターたちは皆、いつかこれを一般に普及させたいという希望を抱いていました。

それが近年、スマートフォンの爆発的な普及に伴い、特にディスプレイとセンサーの性能が飛躍的に上がったことで、コンポーネントのコストが下がり、VRの実現性が急速に高まってきました。

2016年は『VR元年』になると言われていますが、Oculus RiftやPS VRが今年商品として出てくる理由は、今まさにPCやコンポーネントの性能が熟して、遂にクリエイターの思いを具現化できるレベルにまで到達したからなのです」


オキュラスが初めてVRヘッドセットのプロトタイプをE3で公開し、その後にKickstarterで開発費用を集めはじめたのが2012年。続く2013年に開発キットのデリバリーが実現した。

PS VRは2010年秋から開発を始めたが、SCEでもVR商品を展開する下地が徐々につくられていたという。その一つが「PlayStation 3」の時代、2010年に発売した「PS Move」だ。

PS Move

■PS4本体に用意されていたVR実現のための“仕込み”

同製品は、PS3専用のUSBカメラ「PlayStation Eye」で、PS Moveの本体に搭載されている球体LEDの光をキャッチしながら、その“大きさ”と“位置”でプレーヤーの動きを把握、3次元空間の中に正確にマッピングするためのモーションコントローラー。

PS Moveが発売されてから、SCEのR&Dチームや様々なゲームスタジオが集まって、当時ソニーが発売していた3Dヘッドマウントディスプレイ「HMZシリーズ」をPS Moveと組み合わせた簡易な試作VRヘッドマウントディスプレイが手製で作られた。これがPS VRの原型となり、やがて日米欧の共同開発チームが公式に発足する流れにつながっていく。

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