HOME > レビュー > Dynamic Motionの韓国本社&ベトナム工場を訪問。高い開発/生産能力の秘密とは?

新製品「DM300H」も初公開

Dynamic Motionの韓国本社&ベトナム工場を訪問。高い開発/生産能力の秘密とは?

公開日 2016/02/23 10:00 岩井喬
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
製造ラインの奥にはCNC工作機械が数台置かれた部屋がある。ここではドライバーユニットメーカーならではの強みといえる、振動板成型用の金型や製造ラインで用いる治具を自前で作り出している。工作機械のオペレーターも熟練工を雇っており、振動板用金型の切削では、ダイアフラムの振動をサポートするコルゲーションの形状や筋の深さ、本数を自在に操る精密微細加工技術を有しているという。これにより設計変更やサウンドチューニングの際も、アコースティックな部分だけではなく、ドライバーユニットそのものから、音質を自在にコントロールすることが可能なのである。

製造ライン奥の部屋に設置された工作機械群


金型研磨を行っているところ

工場の生産ラインで用いる治具も自前で作成


ドライバーユニットの正確な音響特性を計測するための無響室

イヤホンの周波数特性を計測する測定環境一式

ちなみに同社で作成する金型や治具は本社だけでなく、ベトナム工場で用いるものも含め、全てこのセクションで賄っている。外部発注することがないので独自技術の漏えい防止にも役立っているそうだ。

製造ラインには、樹脂フィルムに金属リブを接着し、金型を使って振動板の形状を写し取るフォーミング工程、ボイスコイルを振動板に接着する工程、磁気回路に振動板を組み合わせる工程、動作確認・測定を行う工程が用意されている。そのほか、完成品に至るまでのハウジング、ケーブル組み込み工程用のラインも別にあり、パッケージングまでをこの本社施設で行えるという。さらに完成した製品の温度・湿度保証試験機やケーブルの引っ張り強度試験機、落下試験機、無響室、周波数特性測定器などの設備も用意。製品の品質管理も行き届いている。

振動板のフォーミングが終わった直後のフィルム


CNC工作機械で作成した金型を用いて振動板をフォーミング

イヤホン用振動板の金型


振動板にボイスコイルを接着。きちんと接着材が付いているかを分かりやすくするため赤く着色してあるという

磁気回路を組み込んだドライバーユニットのフレームパーツ


振動板をドライバーユニットに組み込む。この後はハンダ付けの工程だ


ドライバーユニット単体が組み上がり、その動作確認を計測機で行うとともに実際に音出しをしてチェック

ここでは同社のプレミアムモデルである日本仕様のDM008やDM008P、DM100の他、韓国向けチューニング&リモコンを備える「DM008K」も生産されているとのこと。特に本社生産モデルは音響特性も厳しく管理されており、ユニット検査の段階から念入りに測定を行っているのが印象的であった。

またドライバーユニットの特性や、振動板およびコルゲーション形状は、前述のように金型で調整するほか、フォーミングの段階でフィルム素材の違いや薄さも検討する。よって理想とするサウンドに追い込むことができ、随時フィードバックを生かしたサウンド改善を図っているという技術陣のコメントも心強い。

次ページイヤホン生産の屋台骨を支えるベトナム工場。ハイブリッド型の新イヤホンも披露

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

トピック: