海上忍のラズパイ・オーディオ通信(11)
システム更新でラズパイ・オーディオの音質が向上?「Volumio 2」の開発版を試す(前編)
■大きく変わった「Volumio 2」
Volumio 2の開発版は、こちらのWEBサイト(リンク)で公開されている。テストは2月20日公開のBeta 2で実施したが、この原稿を書き進めるうちに次バージョンのBeta 3が公開された。正式リリースに向け、着々と準備が進んでいると見てよさそうだ。
Macのターミナルを利用した起動ディスク作成手順は以下のとおり。ここでは「disk2」として認識されているが、接続しているストレージの状況によって異なるため、必ず事前に「diskutil list」を実行しmicroSDカードのデバイス名を確認すること。イメージのファイル名については、ベータ版のバージョンに応じて適宜読み替えていただきたい。
起動ディスク作成後の各種の作業は、ふだんどおりリモートログイン(ssh)を利用した。Volumio 1.55までとは異なり、デフォルトではrootでのログインが無効化されているため、ユーザID「volumio」(パスワードも「volumio」)を使うことになる。
気になるカーネルのバージョンだが、unameコマンドで確かめたところ、「4.0.6-v7+」と判明。DSD 11.2MHzネイティブ再生に標準で対応するバージョン(v4.1.10)ではないが、Volumio 1.55(v3.18.14)からメジャーバージョンが上がっている。
余談だが、Linuxカーネルv4.0の1つ前のバージョンはv3.19であり、カーネルのバージョン番号が大きくなり過ぎるのを防ぐため開発チームがv4.0を選んだに過ぎず、v4.0とv3.18の間における劇的な機能差はない。チェンジログ(変更点を列挙した文書)から判断するかぎり、ARMアーキテクチャにおけるオーディオ入出力周りの変更点は軽微だ。Volumio開発者フォーラムの情報によれば、一部のI2S DACで生じる問題が解決されれば、Volumio 2にv4.1のカーネルが収録される可能性があるという。
MPDのバージョンはv0.19.9だ。Volumio 1.55に収録されていたバージョン(v0.19.1)と比較すると、メモリーリークなど多くの不具合が解消されているが、ALSAのバージョンはv1.0.27とDSD 512をサポートしたv1.0.29未満であり、MPDにもDSD 512対応のパッチが適用されていないようで、残念ながらMPDを利用したDSD 512ネイティブ再生には現時点では対応しない。
一方、Webブラウザを利用した操作体系(WebUI)は大きな進歩を遂げている。アーティスト名/曲名をもとにアルバムアートワークを自動取得、画面に表示する機能が追加された。従来のWebUIはごくシンプルな機能と外観だったが、これで"いまどきの"再生システムらしくなったといえる。
ただし、WebUIからDSD/DoPの設定項目が消えたほか、カスタマイズされたカーネルの選択やI2Sの設定も見当たらなくなった。起動時に参照される設定ファイル「/boot/config.txt」を見ると、initramfs(メモリ上に展開できるほど小さいルートファイルシステム)を利用するようになったようで、microSDカードの扱いも大きく変わっている。当然、音も変わってくるはず……ということで、紙幅の都合もあり続きは次回。
(海上 忍)
Volumio 2の開発版は、こちらのWEBサイト(リンク)で公開されている。テストは2月20日公開のBeta 2で実施したが、この原稿を書き進めるうちに次バージョンのBeta 3が公開された。正式リリースに向け、着々と準備が進んでいると見てよさそうだ。
Macのターミナルを利用した起動ディスク作成手順は以下のとおり。ここでは「disk2」として認識されているが、接続しているストレージの状況によって異なるため、必ず事前に「diskutil list」を実行しmicroSDカードのデバイス名を確認すること。イメージのファイル名については、ベータ版のバージョンに応じて適宜読み替えていただきたい。
起動ディスク作成後の各種の作業は、ふだんどおりリモートログイン(ssh)を利用した。Volumio 1.55までとは異なり、デフォルトではrootでのログインが無効化されているため、ユーザID「volumio」(パスワードも「volumio」)を使うことになる。
気になるカーネルのバージョンだが、unameコマンドで確かめたところ、「4.0.6-v7+」と判明。DSD 11.2MHzネイティブ再生に標準で対応するバージョン(v4.1.10)ではないが、Volumio 1.55(v3.18.14)からメジャーバージョンが上がっている。
余談だが、Linuxカーネルv4.0の1つ前のバージョンはv3.19であり、カーネルのバージョン番号が大きくなり過ぎるのを防ぐため開発チームがv4.0を選んだに過ぎず、v4.0とv3.18の間における劇的な機能差はない。チェンジログ(変更点を列挙した文書)から判断するかぎり、ARMアーキテクチャにおけるオーディオ入出力周りの変更点は軽微だ。Volumio開発者フォーラムの情報によれば、一部のI2S DACで生じる問題が解決されれば、Volumio 2にv4.1のカーネルが収録される可能性があるという。
MPDのバージョンはv0.19.9だ。Volumio 1.55に収録されていたバージョン(v0.19.1)と比較すると、メモリーリークなど多くの不具合が解消されているが、ALSAのバージョンはv1.0.27とDSD 512をサポートしたv1.0.29未満であり、MPDにもDSD 512対応のパッチが適用されていないようで、残念ながらMPDを利用したDSD 512ネイティブ再生には現時点では対応しない。
一方、Webブラウザを利用した操作体系(WebUI)は大きな進歩を遂げている。アーティスト名/曲名をもとにアルバムアートワークを自動取得、画面に表示する機能が追加された。従来のWebUIはごくシンプルな機能と外観だったが、これで"いまどきの"再生システムらしくなったといえる。
ただし、WebUIからDSD/DoPの設定項目が消えたほか、カスタマイズされたカーネルの選択やI2Sの設定も見当たらなくなった。起動時に参照される設定ファイル「/boot/config.txt」を見ると、initramfs(メモリ上に展開できるほど小さいルートファイルシステム)を利用するようになったようで、microSDカードの扱いも大きく変わっている。当然、音も変わってくるはず……ということで、紙幅の都合もあり続きは次回。
(海上 忍)