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岩井 喬氏・野村ケンジ氏・高橋 敦氏がレビュー

サエクのPC-Triple C採用イヤホンリケーブル「SHC-220」の音質を評論家 3名が分析

公開日 2016/06/09 10:46 岩井 喬/野村ケンジ/高橋 敦
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サエクコマースは、オーディオケーブルの老舗でありながらイヤホンやヘッドホンのリケーブルにもいち早く取り組み、その製品が高い評価を得てきた。そして2016年春には、新導体PC-Triple Cを採用したイヤホン・リケーブル製品の最上位モデル「SHC-220」が登場した。

SHC-220

今回、VGPの審査員も務める岩井 喬氏、野村ケンジ氏、高橋 敦氏の3名が、このSHC-220を自身の愛用するイヤホンと組み合わせて徹底試聴。そのサウンドや長所をそれぞれの視点から分析した。

■「SHC-220シリーズ」・ラインナップ
・「SHC-220FS」 0.8m:¥19,000(税抜) 1.2m:¥21,000(税抜)
 (イヤホン側:MMCX → 再生機側 サエク製3.5mm 3極端子
・「SHC-220FF」 0.8m:¥23,000(税抜) 1.2m:¥25,000(税抜)
 (イヤホン側:FitEar → 再生機側 サエク製3.5mm 3極端子
・「SHC-B220FS」 1.2m:¥27,000(税抜)
 (イヤホン側:MMCX → 再生機側 サエク製2.5mm 4極端子
・「SHC-B220FF」 1.2m:¥31,000(税抜)
 (イヤホン側:FitEar → 再生機側 サエク製2.5mm 4極端子


<目次>
【1】岩井喬の視点 「色づけのない素性の良さに新導体ならではのS/Nや解像感が加わった」
【2】野村ケンジの視点 「繊細さと聴きやすさを両立。様々なイヤホンの対応力にも注目」
【3】高橋 敦の視点 「イヤホンの持ち味を損ねずに魅力を“ちょい足し”できる」



岩井喬
色付けやクセのない素性の良さに加えて
PC-Triple CによるS/Nや解像感の向上が期待できる



岩井喬氏
サエクコマースはこれまで、ヘッドホン用に加えて、イヤホン用リケーブルも積極的に展開してきた。2011年に登場したSHC-100をはじめ、導体にはPCOCC-A導体を採用。そのサウンドは色付けがなくナチュラルで、芯のある傾向。付属ケーブルからの着実なステップアップができるアイテムとして個人的にも重宝してきた。

PC-Triple Cの登場以降、この新導体を率先してオーディオケーブルに採用してきた同社は、イヤホン用リケーブルにおいても「SHC-120」を2015年3月に製品化。こちらも非常に効果が高く、自然でS/Nの良いサウンドへの改善が認められた。

そして今春には、SHC-120の上位となる「SHC-220」が誕生した。構造はPCOCC-A導体を用いた「SHC-200」を継承するが、中心導体には新たにPC-Triple C単線を採用。その周囲に極細PC-Triple C線を配する独特の構成も取り入れている。

シールドには銅箔、絶縁体には比誘電率の低い発泡ポリエチレン絶縁体を使用するが、特に音質に結びつくポイントとして注目したいのは、介在に用いたシルク糸だ。シルクはノイズや静電気に強く、音質的にもS/N向上や質感の滑らかな表現に繋がる。

試聴ではMMCX端子を備える「SHC-220FS」を、SHURE「SE846」と組み合わせた。付属ケーブルとの音の違いは、まず中域の見通しが向上してS/Nが良くなる。さらには、質感の描写が滑らかかつ丁寧になる。1つ1つの楽器の分離が良くなったことも合わせて、音場の情報量が格段に増す。


SHURE「SE846」との組み合わせ
解像度も改善され、音像の定位や輪郭のフォーカスも向上。よりリアルなサウンドに進化している。低域は引き締まって弾力もよく、アタックやリリースも鮮明に捉える。キックドラムとベースの描き分けも明確だ。

オーケストラの抑揚も豊かになり、旋律の流麗さや余韻の階調の細やかさが際立つ。ボーカルの肉付きはナチュラルで、口元もヌケ良く浮き上がる。付属ケーブルはある意味でリッチなサウンドであったが、SHC-220FSに交換することで上品で落ち着きある音色へと改善された。

次にbeyerdynamicとAstell&Kernによるイヤホン「AK T8iE」のケーブルをSHC-220FSへ交換してサウンドをチェック。付属ケーブルと比べて質感表現やレンジ感の大きな拡張が認められ、癖のない高解像度なサウンドへと変化した。


beyerdynamic「AK T8iE」との組み合わせ
下位グレードのSHC-120FSでもやはり落ち着きある音質への変化が認められるが、こちらは弾力がよく有機的で、穏やかな表現。聴きやすいサウンドとしている印象であった。対してSHC-220FSではさらにフォーカスがよく高S/Nになり、空間を見通せるリアルなトレース力と、抑揚豊かで流麗な音色も兼ね備えた、安定感の高い音質を得ることができるのだ。

SHC-220シリーズは基本的に色付けやクセのない素性の良さに加え、PC-Triple Cの採用によるS/Nや解像感の向上を期待できるニュートラル気質のリケーブルといえる。過度な煌びやかさとは無縁の落ち着いた傾向であることを含め、カラーリングを抑えつつ付属品からの音質改善を図るときには最良の製品であるといえるだろう。

次ページ野村ケンジ氏「様々なイヤホンや音楽ジャンルへの対応力の高さも魅力」

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