リビングでも気軽に高品位を
ティアックのCDプレーヤー「PD-301」レビュー。品質・設置性・機能に優れた注目モデル
筐体はフロントパネルはもちろん、天板も肉厚のアルミ材で質感が高く、サイドパネルはデザイン面でもアクセントになっている。美しくオーディオマインドをくすぐる仕上がりだ。表示部は18x2行のドットマトリクス方式で、ファンクション他、各種情報をアルファベットと数字で表示できる。
前面に設けられたUSB端子はUBSメモリ専用で、WAV/MP3/WMA/AACに対応。iOSデバイスを接続しても認識せずハイレゾ音源にも対応しないので、オマケ機能と捉えておこう。
電源はACアダプタ方式なのが気になるが、消費電力は8Wと低いため合理的な選択だったのだろう。音質面でも適切な設計こそが重要で、ACアダプタ方式だからといって切り捨てるのは早計だ。
■質感を備えつつ、強さと粘りを感じるしっかりした低音が魅力
まずはメイン機能のCDを試聴してみる。ディスク挿入はスロットイン方式で、トレーが出て来るのを待たないで済むというメリットもある。わずか数秒の話とは言え、年々せっかちになるアラフィフの筆者にもありがたい。またローディングが適度な素早さでフィーリングが精密なのもオーディオライクだ。資料には、業務用製品で採用実績のあるオーディオ専用ドライブを搭載しているとのことで合点が行った。
今回、本機とアンプ「AI-301DA」をアナログ接続で使用した。本機はTI製D/AコンバーターBurrBrown「PCM5142」を搭載していて、DACおよび周辺アナログ回路も含めた音質確認となる。
全体の印象としては、ウォームな音調をベースに全帯域において耳障りが良く、長時間リラックスして楽しめる。コンパクトなシステムとは思えない充実したローは特筆に値し、同時にキレが良く後を濁さずに軽やかに消えて行く。単に量で勝負する重低音ではなく、質感を備えつつしっかり空気を振動させる足腰の強さと粘りを感じるものだ。
筆者お気に入りのカントリーの大御所・Alan Jacksonの「Who I am」では、重厚なアメリカンサウンドを奏でつつも、バイオリンなど弦楽器の伸びやかで表情も豊かだ。言わずと知れた名盤・Eric Claptonの「Unplugged」は、ライブステージの空気感が漂いつつ、立ち上がりの鋭い弦の存在感に圧倒される。余韻の透明感と消え際までスムーズな移行も秀逸だ。
おそらくセット全体でジッターを上手く抑えた結果だろう。実売価格を参照するとセットで20万円弱に収まる計算で、コストパフォーマンスが非常に高く感じる。オーディオマニアのサブシステムとしても納得できる品位で、多くの家庭ならメインシステムとして充分に通用するはずだ。