リビングでも気軽に高品位を
ティアックのCDプレーヤー「PD-301」レビュー。品質・設置性・機能に優れた注目モデル
次にFMラジオを試聴。AMチューナーは内蔵しないがワイドFMに対応し、AM局も聴取できる(地域によって聴取できる放送局は確認が必要)。オートプリセット機能が利用でき、数秒でスキャンが完了するので選曲に手間取ることもない。今回、久し振りに地元大阪のラジオを聞いてみたのだが、話言葉も情報もローカル色の濃さに驚いた。これもラジオならではの楽しみである。
1つ注文したいのは、受信レベルを示す表示の追加。もちろんデジタルチューニングで周波数は数値で確認できるし、実用上充分な感度が得られて音質面でも不満はない。しかしラジオ聴取ではアンテナの調整も楽しみの1つで、ドンピシャにハマった時は嬉しいもの。その際にもレベルメーターがあるとさらに満足度が高い。
■AI-301DA/S-300HRとの組み合わせで、テレビもご機嫌
今回試聴したシステムはスピーカーを含めても非常にコンパクトだ。テレビ周りに設置して、テレビの音をグレードアップする用途にも適している。AI-301DAは2系統のデジタル入力を備えているので、PD-301とは同軸デジタルで、テレビとは光デジタルで接続すると良いだろう。ソース選択の煩わしさが無い点で実用的だ。
実際に視聴すると、テレビ放送の音質もなかなか良いことに気付く。特にCMが高音質なのは複雑な気持ちだが、テレビの薄型化以降まともな音を聴いていない視聴者は多いはずで、ハイファイ機器で聴くと豊かな気分になれるに違いない。また、長時間聴いても疲れず実用面でも優れていると言える。
他にも、S-300HRのドライバーが2Way同軸構成のおかげか、正面だけでなく部屋のどこから聞いてもナチュラルに聴くことができた。家事をしながらの「ながら視聴」も高品位なのだ。
さらに、AI-301DAはUSB-B端子を搭載し、ハイレゾを含むPCオーディオやBluetooth接続による再生が可能となる。PD-301にはUSBメモリを挿入してのファイル再生も可能なので、ワンセットあれば今考え得る殆どの用途に利用できる。
最近はファイル再生がテーマになりがちだが、今まで蓄積したCD資産を考えると、CDプレーヤーのクオリティーにもこだわりたい。PD-301はリーズナブルな価格ながら、音質面ではハイファイ機器として充分な品格を備え、昔良く聞いたCDからも新しい一面を引き出してくれるはずだ。また、音楽を聴くという行為に対して、CDやラジオの「直ぐに音が出る」という感覚がいかに大切なことか、再認識させてくれるだろう。
コンパクトで高品位なハイファイ機のイメージが強い本シリーズだか、リビングで気軽に、家族みんなであらゆる音楽や音を共有するような使い方もおすすめしたい。