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“低音強化モデル”のサウンドは?

ETYMOTICの新境地を拓いた待望の新イヤホン「ER4SR」「ER4XR」をレビュー

公開日 2016/08/01 10:00 折原一也
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「ER4SR」は期待通りの“スタジオリファレンス・イヤホン”サウンド

“スタジオリファレンス・イヤホン”の「ER4SR」から試聴してみよう。

リファレンスサウンドの「ER4SR」

「ER4SR」の出荷時に装着されているのは、同社らしい3フランジ・イヤーチップ。ただしこちらは耳奥まで挿入しないと正しい音質で聴けないことも「ER-4S」から引き継いでいたりする。筆者も正しく「ER4SR」の実力を確認するべく、耳元で筐体を押さえてリスニングを始めた。

リファレンス音源で時間を忘れて聴き込んでしまったのが、SHANTIのジャズナンバー『Killing Me Softly With His Song』。数多のイヤホンで聴いた音源だが、イヤホンを装着して音源を流した時から、”Etymotic Researchの音だな”と安心するサウンドだ。

女性ボーカルの声の表情も繊細でシルキーだ。スペック上の帯域設定通りハイを欲張らない一方、持ち前の分解能でコーラスとのハモりの重なりもその全てを厳密に描き切る。音源に秘められた微細音まで拾う圧倒的な解像感がある一方で、いかにも高解像を謳うイヤホンのようなアタックのキツさもない。

高域を刻むシンバルの金属音も極小音ながら丁寧なリズム。バックのアコースティックギターの刻みまで音楽として感じ取れるほどだ。ダイナミックにボリュームが変動しても耳に付くことなく、美しく鳴らし切るさまは「ER-4S」譲りの極上のチューニングだ。

低域についてはベースの音もゴリっとした情報量と締まりを持たせた、BAドライバーらしいやや腰高な低音といったところ。量的には静かな部屋で音楽を聞くには適量という、まさにモニターサウンド向けのチューンだ。

全くジャンルを変えてJロックのKEYTALKの『桜花爛漫』を聞いても、意外や意外相性が良い。男性ボーカルのロックナンバーだが、エレキギターのサウンドと中域の音の分解能が高く情報量が豊富なためギターやドラムとのセパレーションが明確。ギター、ボーカルいずれも誇張感を出さず、音の情報量のみで存在感を放つことと、それゆえボリュームをめいっぱい上げても聴ける事も「ER4SR」の美点だ。

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒 オリジナル・サウンドトラック』のサントラより『Main Title and The Attack on the Jakku Village』を聴いてもあの冒頭のトランペットの雄大なファンファーレも音の正確さ、レンジ感の正しさに圧倒される。メロディが極度に強調される事もなく、特にボリュームを上げてもオーケストラとしての調和が保たれ、同時に音の弦楽器のメロディも音の分解能たっぷりに鳴らす様は他にもない水準。メインテーマから続く後半部でも音のスケールが大きく圧倒的な没入感を備えている。

Etymotic Research社のイヤホンでは、付属のフォームイヤーピースへの交換も音是非試したいところ。標準の3フランジ・イヤーチップからフォームイヤーピースに交換すると、サウンドにも大きな変化があった。

標準の3フランジ・イヤーチップに加え、フォームイヤーピースも付属。交換するとサウンドがかなり変わる

まず、すべての音源で中域から高域までがよりいっそう鮮明に聴こえるだけでなく、非常に高い分解能のため特に女性ボーカルの声の帯域ではアタック感が出て、より厳密なイヤーモニター調のサウンドになる。低域の再現では硬質と共にポータブルでも通用する程度のボリュームも確保できる。

イヤーピース交換による音色の変化は「ER-4S」にも近く、既存ユーザーなら、スムーズに受け入れられることだろう。

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