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IFA会場で集中試聴

ソニーの旗艦ヘッドホン/ウォークマン/HPA「WM1Z/Z1R/ZH1ES」一斉レビュー

公開日 2016/09/09 12:14 山之内 正
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フラグシップヘッドホン「MDR-Z1R」は“とても静かな音”

「MDR-Z1R」(関連ニュース)は空気感の実現を設計目標に開発された密閉型ヘッドホンである。空気感を狙うなら開放型で設計した方が良さそうにも思えるが、ディテール再現や静寂感など、密閉型の長所も犠牲にしたくない。

MDR-Z1R

そのジレンマを解決するために導入したのが、音響レジスターとして機能する特殊素材のハウジングで、耳障りな共鳴音を激減させる効果を持つ。発想自体は特別に斬新というわけでもないが、これまで実現できなかったのは、微妙な通気性を持たせつつ、適切な形状を維持して強度もそなわる素材が見つからなかったからだ。ソニーのエンジニアによると、素材探しにまで遡ると10年以上かけているという。途中で諦めなかったことにも感心するが、結果として自然素材に限りなく近い材料にたどり着いたというのが興味深い。

ハウジングに通気性のある「音響レジスター」を搭載することで、ハウジングの共鳴を限りなく除去することを狙った

MDR-Z1Rの再生音は、密閉型なのに大音量で聴いても圧迫感がないことにまずは感心した。そして、少し妙な表現だが、とても静かな音である。まわりの音が気にならないという意味での密閉型特有のS/Nの良さと言うより、余分な音がまとわりつかないすっきりとした感触と表現した方が近いだろう。側圧が気にならない自然な装着感を実現していることもあって、良質なスピーカーがもたらすストレスのない音場に一歩近付いたとも言える。

内部構造。70mmの大型ドライバーなどを搭載している

スピーカー再生のステレオ音場に比べると距離は近いが、既存のヘッドホンよりは遠近感が豊かで、しかも共鳴が少なく静かなのでディテール再現力はスピーカーをある意味上回っている。Z1Rでのリスニング体験が既存のヘッドホンと微妙に違うのは、ディテール再現と開放感をこれまで以上に両立できていることに理由がありそうだ。

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