【特別企画】折原一也&鴻池賢三が同社4Kサービスの魅力に迫る
4K/HDR時代を牽引する注目サービス「ひかりTV 4K」を評論家2名が体験!その本気度を見た!!
“日本初"の4Kサービスを連発する「ひかりTV 4K」の技術・制作力を訊く
(取材・執筆 鴻池賢三)
■4K/HDRの到来を確信し制作手法と知見を蓄積する
日本初の4K VODサービスを開始し、2015年11月には4K/HDRサービス、そして今年8月にはドルビービジョンにも対応するなど、次世代映像配信の担い手として存在感を高めてきた「ひかりTV 4K」。こうした先進的なサービスを手がけることができる理由とその狙いはどこにあるのか?
今回は、ひかりTV 4Kの技術拠点を訪問し、詳しい話を聞くことが出来た。そこからは、同社の確かな技術力に加え、4K時代を牽引するという強い意気込みと現場でのノウハウ蓄積など、「人」の熱い想いが伝わってきた。
ひかりTV 4Kを提供するNTTぷららは、配信インフラやサービス事業者と思われがちだが、近年4Kコンテンツの制作にも積極的に取り組んでいる。日本初で4Kサービスを提供するということは、現存しないコンテンツを生み出す必然性があるからだ。結果、4K撮影やグレーディングでノウハウを蓄積することになり、時には連携する放送局の4K作品への技術協力や撮影現場の立ち会いなども行っているという。
AVファンにとっては4K/HDRの配信サービスが大きなトピックだが、技術陣は2014年に開始した4Kサービスのオリジナルコンテンツ撮影時に、既にHDR時代を見越してRAW撮影を敢行していたという。
技術開発部長の宮里氏とネットワーク管理部のチーフエンジニアの土井氏によると、4Kサービスの検討を開始した2014年4月の時点で、2Kながらドルビービジョンのデモ映像を目にし、その画質のインパクトに4K/HDR時代の到来を確信したという。こうした先見性と行動力が、日本初のサービスに繋がっていたのだ。
■TV会社にも積極的に発信。全5社にチューナーが搭載
オリジナルコンテンツの撮影には、ソニーの4KカメラF55が使われRAWデータで収録されている。土井氏によれば、4K/HDR時代の高性能カメラで撮影することは、多くのユーザーが目にするHD/SDR作品の画質向上にも寄与すると話す。撮影した映像のグレーディングは設備の整った外部ポスプロで行い、現場にも立ち会う。ドルビービジョンで提供される作品については、ハリウッドのポスプロに趣き、SDRとHDRを同時にモニターで確認しながら、両者が最大限に引き出されるよう、注意深くグレーディングを行っているというから、その徹底ぶりには驚くばかりだ。
こうした彼らの取り組みは、関連する会合で積極的に発信し、テレビメーカー各社にも呼びかけを行ってきたという。国内テレビメーカー4社とLGがひかりTV 4Kチューナーを搭載する現状を見ると、強靱なインフラを背景にひかりTV 4K技術陣の熱い想いが、テレビメーカー各社に伝わった成果といえるだろう。
折角の機会なので、NTTグループの本業とも言える配信技術の詳細についてもうかがった。
NTTグループはエンコード技術でも長年の研究・開発実績があり、それは高解像度映像を圧縮するキモと言えるHEVC技術においても一日の長がある。画質面の検証とフィードバックはもちろんのこと、半年に一度程度の頻度でエンコーダーのブラッシュアップを行うなど、品質の最適化に取り組んでいるという。エンコード性能の向上は高画質化そのものであり、グループ内にコンテンツとハードを揃えることができるひかりTV 4Kならではの強みだ。
今後、コンテンツのHDR化が進むと情報量の増大が心配されるが、エンコードの高効率化が進んでおり十分にカバーできるという。