<山本敦のAV進化論 第115回>
パナソニック新DIGAは音楽サーバーとしてどれだけ “使える” か?
ハイレゾ音源は、HDMI接続なら最大192kHz/24bitで出力できるので、AVアンプにつないでスピーカーでより高音質に楽しめる。リビングでカジュアルにハイレゾを楽しむのであれば、ハイレゾ対応スピーカーを搭載する液晶テレビ“VIERA”「DX850」シリーズもDIGAの良きパートナーになる。DX850シリーズには音楽再生時にテレビの画面を消せる機能も備えているので、オーディオシステムのような使い方ができる。
DIGAの「ハイレゾリマスター」機能を使えば、CDリッピングの音源もハイレゾ相当にアップコンバート再生ができる。アプコンの効果は強/中/弱の3段階から選択する。
ハイレゾ音源でも働く機能なのだが、パナソニックではサンプリング周波数が96kHz以下のファイルで効果があると説明している。試してみると低域の立体感や、高域の余韻の柔らかさに変化が現れた。
■ネットワークスピーカーにつないで音楽を再生してみる
今回、筆者が自宅で使用しているボーズのワイヤレススピーカー「SoundTouch 10」で、DIGAに保存した音楽をシンプルに楽しめないか、実験してみた。
SoundTouch用スマホアプリ「SoundTouch」は、DLNAベースのライブラリーにアクセスして、音楽再生をコントロールでき。起動すると、ソース機器の一覧に同じホームネットワークのアクセスポイントにつながっているDIGAが表示され、フォルダを掘り下げていくとHDDに保存されいている楽曲が見える。
ただし、SoundTouchアプリの音楽プレーヤーがFLAC形式のファイル再生に対応していないため、残念ながらDIGAでCDリッピングしたファイルが再生できなかった。またMP3形式のファイルについても、再生時に時折エラーが発生することがある。アプリとサーバー機器との相性も関係してくるようだ。
パナソニックが動作確認を行い、組み合わせとして推奨しているのは、パナソニック製のAllPlay対応ネットワークオーディオ機器だ。AllPlayとは米クアルコムが推進する、Wi-Fiをベースにしたワイヤレスオーディオ再生のための技術だ。
パナソニックはそのAllPlayを、積極的に同社のワイヤレスオーディオシステムやスピーカーのラインナップに搭載しているメーカーのひとつ。今夏にはお風呂でも使えるワイヤレススピーカー「SC-ALL05」や、スタイリッシュな一体型オーディオシステム「SC-RS75」などの新製品が発売されている。
AllPlay対応ネットワークオーディオ製品の使い勝手については、以前に本連載で取り上げた過去記事もぜひ参考にしてほしい。
■スマホアプリ「Music Stream」も活用したい
今回は手元の機器でDIGAのミュージックサーバー機能がどこまで使えるか試したこともあり、あえてAllPlay対応のスピーカーまで借りて試さなかったが、AllPlay対応機器であれば、パナソニックのiOS/Android対応スマホアプリ「Music Stream」を使って、DIGAに保存した音楽ファイルをよりスマートにコントロールできる。
スマホアプリ「Music Stream」がどんなものなのか、Xperia XZにインストールしてボーズのSoundTouch 10でも使えるようになるのか試してみた。
先にスマホのBluetooth設定からSoundTouch 10をペアリングしておけば、Music Streamアプリのデバイス一覧にSoundTouch 10がBluetooth接続されているスピーカーとして並ぶ。あとはDIGAのHDDに保存した音源をブラウジングして、聴きたい楽曲をタップすると、無事にスピーカーから音楽が流れはじめた。
CDリッピングしたFLACファイルやハイレゾ音源も再生できるが、伝送時にはSBCコーデックで圧縮されてしまう。
またスマホからのストリーミング再生になるので、そのぶんスマホのバッテリーは消耗するし、スマホの電源を切ると再生はストップする。やはりMusic Streamアプリを活用する場合はAllPlay対応ネットワークオーディオを揃えた方が便利に使えそうだ。
DMR-BRZ1020はドライブや筐体まわりの高音質化にはそれほどこだわっていないスタンダードクラスのBDレコーダーだが、リビングを中心に、より手軽にホームネットワークを活用した音楽再生を楽しむなら十分に“使える”ミュージックサーバーだ。CDリッピング機能も、これから発売されるDIGAのラインナップに広く採用されることを期待したい。