手頃な価格で確かな音質を実現
ハイコスパで人気のUSB-DAC/ヘッドホンアンプ、Soundfort「DS-200/DS-100+」を試す
デバイスやデジタル/アナログ回路周りは、更に本機のコストパフォーマンスを象徴していると言って良いだろう。DACチップは音の良さで定評があり、他社の上位製品でも採用例のあるTI社製「PCM1795」を使用。USBインターフェイスにはSaviTech社製「SA9226」を搭載している。
また、高精度なクロックが44.1kHzと48kHz系の2系統搭載されることも見逃せない。下記の図を見ていただければわかる通り、信号の入り口から出口までこの価格帯の製品ではなかなか採用できないような高品質デバイスが惜しげもなく投入されている。
これは片山氏自らが、長年の経験を生かし部品メーカーと交渉してパーツを入手しているためだろう。そして注目したいのは、ただ単に高価なデバイスを搭載したわけではなく、各デバイスのもつ特性を最大限発揮させるために、回路パターンや部品の配置など何度も試聴を繰り返し製品を仕上げている点だ。
まるで大手メーカーが高級機で採用する開発手法を一人でコツコツと行っており、片山氏は部品入手も含めこのような正攻法での開発に長けているのであろうと思われる。しかし現実としてそれだけでは難しく、かなりの情熱がないとこれらの手法は実現できないはずだ。
構成に話を戻すが、本機はアナログ部とデジタル部でそれぞれ単一の基板を採用し、コンパクトなケースに搭載するため2階建に設置されるなど、内部構成も工夫されている。さらに電圧/電流が変動しやすいとされるパソコンからのUSBバスパワー電源供給を使用せず、ACアダプターで安定したDC電源を確保しており、全方位に隙がない。
また入出力端子の豊富さも魅力だ。USBに加え、S/PDIF同軸/光TOSによるデジタル入力を装備、RCA端子による本格的なライン出力も装備される。余談だが、本機に備わるヘッドホン端子が、後ほど紹介する姉妹機・DS-100+の6.3mmステレオ標準ジャックから3.5mmステレオミニジャックに変更されている。見た目だけ考えれば標準ジャックの方がインパクトあるが、この価格帯の製品に合わせるヘッドホンの多くが3.5mmジャックを搭載していることから仕様変更されたのかもしれない。このあたりの心遣いはいかにも日本人技術者の設計した製品らしい所だ。
■DS-100+の製品プロフィール
もう一方の「DS-100+」はDS-200の姉妹機となるUSB-DAC/ヘッドホンアンプ。以前発売されて好評だった「DS-100」のアップデートモデルでもある。
・DS-200同様、制振性に優れた小型ケースを採用
・DACチップにTI社製「PCM1798DB」を採用
・PCM96kHz/32bit、DSDは2.8MHzによるASIOネイティブ再生に対応(DSDはWindowsのみ対応)
・ヘッドホンアンプ部にTI社ハイエンドチップ「TPA6120A2」を採用
・USBデジタル入力、光TOSによるデジタル出力とLINE出力を装備
・ヘッドホン端子は6.35mmステレオ標準ジャック
DS-100+はさらにリーズナブルな価格だが、こちらもDACチップにTI社製「PCM1798DB」を搭載する。またヘッドホンアンプには、大手メーカーのDAPでも採用されている超低歪チップ「TPA6120A2」が採用されているなど、こちらも高品位なパーツが投入されており驚かされる。PCMであれば最大96kHz/24bitに対応、DSDは Windowsのみの対応となるが、DSD 2.8MHzのネイティブ再生が可能となる。
本機も片山氏自らが20回以上に上る回路パターン/部品配置変更などを行い、徹底的にチューニングを行っている。またDS-200同様にACアダプターによる安定した電源供給を行い、デジタル系/アナログ系を分離しクリーン化された電源回路を採用するなど、価格を超える内容になっている。
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