手頃な価格で確かな音質を実現
ハイコスパで人気のUSB-DAC/ヘッドホンアンプ、Soundfort「DS-200/DS-100+」を試す
続いてDS-100+を試聴する。ヘッドホンは同じくMDR-Z1000を使用。DS-200との音調/音色の差を確認する意味もあり、まずはfripSide「Run into the light」を再生した。音抜けの良さとスピード感ある音調はDS-200と共通で、音色は少々ブライトになる。低音の力感や高域から低域の密度感は一歩譲るが、それでもこの価格を考えると大健闘だ。
次にオールドJazzを聞いてみる。CDリッピング音源のLee Morgan「Candy」(FLAC 44.1kHz/16bit)は、1958年に発売されたハードバップジャズの名盤だ。イントロから始まるアート・テイラーのドラムはスピード感があり、リ・モーガンのトランペットは立ち上がり良く、キレまくっていて非常に印象が良い。ベースラインもしっかりしており、オールドジャズの再生に必須のグルーブ感をしっかりと表現出来ていた。
■両モデルともに価格からは想像できない確かな音質
DS-200はヘッドホン/ラインアウト共、この価格帯の製品の中ではかなり優れた音質を備えている。正直に書くが、少々面を食らったと言って良い。ヘッドホンアンプの駆動力もあるので、今回試したようなスタジオモニターなどを始め、極端にインピーダンスの高いヘッドホンでなければ十分駆動出来る。
またDACとしての音質も安定しており、光入力も備えていることから、手持ちのスマートフォンやDAPとデジタル接続してパワードスピーカーと組み合わせるなど、購入後の利用用途も広そうだ。
DS-100+は、再生可能スペックこそDS-200に譲るものの、その存在はPCオーディオにチャレンジしたいと考えているユーザーには嬉しいところだろう。例えばWindowsパソコンを持っていれば、無料音楽再生ソフト「foobar2000」と組み合わせてDSDを含むハイレゾファイル再生を驚くべき低コストで実現できる。しかもその音質は確かなものだ。
今回試聴を行って、Soundfortの製品がインターネット上で高い評価を得ている理由は分かった。今回色々なジャンルの音源を聴いたが、特に不得意なジャンルというものも存在せず、その音源の持つ特色をしっかりと再生できているのは特筆出来る。Soundfort の由来である、"Sound" + "Comfortable"「気軽に良い音・音楽を楽しもう」という意味も十分理解した。この価格帯で、設計者の信念が伝わってくるような所有欲を感じるオーディオ製品はなかなか出会えないのではないだろうか。
【試聴音源】
・MP3 <J-Pop/アニメ>
fripSide『infinite synthesis 3』(MP3 44.1kHz/320kbps)より
Trac10「Run into the light」
・CDリッピング音源 <Jazz>
Lee Morgan『Candy』(FLAC 44.1kHz/16bit)[XRCD AWMXR-0014]より
Trac1 「Candy」
・ハイレゾ音源 <J-Pop/アニメ>
RADWIMPS『君の名は。』(FLAC 48kHz/24bit)より
Trac8「前々前世[movie ver.]」
・DSD <女性ボーカル>
ダイアナ・クラール『The Girl In The Other Room』(2.8MHz/1bit DSF)より
Trac1「Stop This World.1」
・WAV 32bit <J-Pop/アニソン>
佐咲紗花『WASTELANDERS』(WAV 96kHz/32bit)より
Trac1「WASTELANDERS」