【特別企画】人気モデルが「II」に、試聴レビューも
Unique Melody「MAVERICK II」「MAVIS II」登場。開発者が語る “さらなる進化” のポイント
■音導管が金属素材に変更。その理由とは?
まず今回の2機種では、音導管が従来のビニールチューブから、金属素材に変更されている。その理由を訊くと、「チューブの強度を確保することが、生産の効率化と音質向上の両方に貢献するのです」と答えてくれた。
その理由はこうだ。マルチドライバーだとチューブの数も増える。ひしめき合うビニールチューブが触れ合うことで、チューブがつぶれたり曲がったりして特性が変わってしまう。金属に変更することで潰れることがなく強度も高まり、また生産における品質のバラつきを避けることができるという利点もある。金属製の音導管の特徴として、高域が伸びて華やかになることもプラスの要素だった。
■MAVERICK IIではベントの穴を2つに追加し、音の抜けを改善
そしてMAVERICK IIとMAVIS IIにおいて、ベントの孔を従来から1つ増やしたことは、最も大きな変更点であり、音質の大幅な向上にもつながったと宮永氏は語る。
そもそもベースとなるチューニングは、フェイスプレート部分がまったくない、いわば“開放状態”で行うのだという。そこからフェイスプレートを被せればもちろん音は変わってしまう(イヤホンという性質上、フェースプレートをつけないということは不可能だ)。よって最終段階では、フェースプレートをつけた状態で、開放状態でチューニングした理想の音に近づけていくという作業を行うのだという。
ベントを設けることは、“開放状態”に近づけるための手段なのだそうだが、いたずらに増やせばいいというものではない。ベントを増やすと埃が入りやすくなり、保守の面で問題が生じる。強度の確保も必要だろう。ただ、ベントを増やせば音が良くなるということはわかっていた。そのバランスを探った結果、従来からベントを1つ増やして2つにするという改善に至った。
結果としてベントを増やしたことで、音の抜けの良さやセパレーションは大幅に向上した。ただ、この音のクリアネスの向上は“誤魔化しがきかなくなる”ことでもある。位相感や定位においてさらに繊細なチューニングが求められるようになり、従来以上の苦労が伴ったと宮永氏は語る。
また初代機との違いとして、ダイナミックドライバーと中域を担当するBAドライバーが変更された。ダイナミック型については直径10mmとサイズは同じだが、宮永氏いわく「もっとタイトな音質のもの」を選択。BAもこれに合わせて変更を行った。
ちなみにミックスウェーブはMAVERICK IIに先だって、e☆イヤホン限定で「MARVERICK +」を発売している。実はMAVERICK IIとMARVERICK +は、兄弟のような関係にある。
「MAVERICK IIを開発するにあたって、多種多様なドライバーを使用して合計5つの試作機を作成しました。その中で特に良かったドライバーの組み合わせが2つあり、一方がMARVERICK +に、もう一方がMAVERICK IIになったのです。目指した音の方向性は同じなのですが、使用したダイナミックドライバーが異なることで、そこに優劣つけがたい異なる個性が生まれたので、2つのモデルとして世に送り出すことになりました」(宮永氏)。
以前のインタビューでも、宮永氏はUnique Melodyのイヤホンの開発に携わる上で「ブランドの個性と音質バランスをいかに両立させるか」をテーマにしていると語っていた。しかしMAVERICKについては当初から「バランスが10割」を目標にしたモデルなのだという。その点は当然「II」でも継承された。個性的なサウンドを備えるモデルが多いハイブリッド型イヤホンにおいて、バランスを何より追求することが「個性」と宮永氏は考えているのだ。
■“つぐみ”の名を冠した「MAVIS II」の魅力とは?
同時に登場したMAVIS IIについては、MAVISのカスタムモデルをベースにしている。カスタムモデルの時点で初代MAVISユニバーサルから進化を図り、2ベント仕様や合金製チューブの採用は実現していた。それがユニバーサルモデルのMAVIS IIにも継承されるかたちとなったが、ユニバーサル用にまったく異なるチューニングが施された。
具体的には、デュアル・ダイナミックドライバーの強みである低域の量感をさらに打ち出し、ローミッド周辺を調整して、本機の特徴といえる美しいボーカル再現がさらに際立つようにチューニングしたという。宮永氏は「MAVIS IIはバランスが8割、個性が2割ですね」と語る。
宮永氏はこれまであまり話してこなかったという、「MAVIS」という名前の由来についても紹介してくれた。Unique Melodyの日本向けモデルは、名前が全て「M」の頭文字から始まっているのはご存じの通りで、MAVISは「つぐみ」を意味する。つぐみはその美しい歌声で知られる小鳥だ。MAVISで実現できた美しいボーカル再現と、美声で知られる鳥というイメージが、宮永氏の中で腑に落ちたのだという。
まず今回の2機種では、音導管が従来のビニールチューブから、金属素材に変更されている。その理由を訊くと、「チューブの強度を確保することが、生産の効率化と音質向上の両方に貢献するのです」と答えてくれた。
その理由はこうだ。マルチドライバーだとチューブの数も増える。ひしめき合うビニールチューブが触れ合うことで、チューブがつぶれたり曲がったりして特性が変わってしまう。金属に変更することで潰れることがなく強度も高まり、また生産における品質のバラつきを避けることができるという利点もある。金属製の音導管の特徴として、高域が伸びて華やかになることもプラスの要素だった。
■MAVERICK IIではベントの穴を2つに追加し、音の抜けを改善
そしてMAVERICK IIとMAVIS IIにおいて、ベントの孔を従来から1つ増やしたことは、最も大きな変更点であり、音質の大幅な向上にもつながったと宮永氏は語る。
そもそもベースとなるチューニングは、フェイスプレート部分がまったくない、いわば“開放状態”で行うのだという。そこからフェイスプレートを被せればもちろん音は変わってしまう(イヤホンという性質上、フェースプレートをつけないということは不可能だ)。よって最終段階では、フェースプレートをつけた状態で、開放状態でチューニングした理想の音に近づけていくという作業を行うのだという。
ベントを設けることは、“開放状態”に近づけるための手段なのだそうだが、いたずらに増やせばいいというものではない。ベントを増やすと埃が入りやすくなり、保守の面で問題が生じる。強度の確保も必要だろう。ただ、ベントを増やせば音が良くなるということはわかっていた。そのバランスを探った結果、従来からベントを1つ増やして2つにするという改善に至った。
結果としてベントを増やしたことで、音の抜けの良さやセパレーションは大幅に向上した。ただ、この音のクリアネスの向上は“誤魔化しがきかなくなる”ことでもある。位相感や定位においてさらに繊細なチューニングが求められるようになり、従来以上の苦労が伴ったと宮永氏は語る。
また初代機との違いとして、ダイナミックドライバーと中域を担当するBAドライバーが変更された。ダイナミック型については直径10mmとサイズは同じだが、宮永氏いわく「もっとタイトな音質のもの」を選択。BAもこれに合わせて変更を行った。
ちなみにミックスウェーブはMAVERICK IIに先だって、e☆イヤホン限定で「MARVERICK +」を発売している。実はMAVERICK IIとMARVERICK +は、兄弟のような関係にある。
「MAVERICK IIを開発するにあたって、多種多様なドライバーを使用して合計5つの試作機を作成しました。その中で特に良かったドライバーの組み合わせが2つあり、一方がMARVERICK +に、もう一方がMAVERICK IIになったのです。目指した音の方向性は同じなのですが、使用したダイナミックドライバーが異なることで、そこに優劣つけがたい異なる個性が生まれたので、2つのモデルとして世に送り出すことになりました」(宮永氏)。
以前のインタビューでも、宮永氏はUnique Melodyのイヤホンの開発に携わる上で「ブランドの個性と音質バランスをいかに両立させるか」をテーマにしていると語っていた。しかしMAVERICKについては当初から「バランスが10割」を目標にしたモデルなのだという。その点は当然「II」でも継承された。個性的なサウンドを備えるモデルが多いハイブリッド型イヤホンにおいて、バランスを何より追求することが「個性」と宮永氏は考えているのだ。
■“つぐみ”の名を冠した「MAVIS II」の魅力とは?
同時に登場したMAVIS IIについては、MAVISのカスタムモデルをベースにしている。カスタムモデルの時点で初代MAVISユニバーサルから進化を図り、2ベント仕様や合金製チューブの採用は実現していた。それがユニバーサルモデルのMAVIS IIにも継承されるかたちとなったが、ユニバーサル用にまったく異なるチューニングが施された。
具体的には、デュアル・ダイナミックドライバーの強みである低域の量感をさらに打ち出し、ローミッド周辺を調整して、本機の特徴といえる美しいボーカル再現がさらに際立つようにチューニングしたという。宮永氏は「MAVIS IIはバランスが8割、個性が2割ですね」と語る。
宮永氏はこれまであまり話してこなかったという、「MAVIS」という名前の由来についても紹介してくれた。Unique Melodyの日本向けモデルは、名前が全て「M」の頭文字から始まっているのはご存じの通りで、MAVISは「つぐみ」を意味する。つぐみはその美しい歌声で知られる小鳥だ。MAVISで実現できた美しいボーカル再現と、美声で知られる鳥というイメージが、宮永氏の中で腑に落ちたのだという。