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音質や使い勝手を検証

DSDも手軽に再生!ラズパイ・オーディオをiFI-Audio「micro iDSD BL」で試してみた

公開日 2017/03/12 09:30 海上 忍
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肝心の音だが、一聴して解像感の高さを実感できる。DSD 5.6MHzのMathias Landaeus Trio「Openings」は、ピアノは一音一音の立ち上がり/立ち下りが素早く、ハンマーが弦を打つ微妙なニュアンスまで伝わるかのような繊細さだ。SNの高さゆえか、微細な音までクリアに描くため、シンバルワークも音切れよく音場が濁らない。

FLAC 96kHz/24bitのスティーリー・ダン「Babylon Systers」は、低域のキレが印象的。何度聴いてもBernard Purdieのドラムワークは絶妙だが、micro iDSD BLで聴くChuck Raineyのベースは音の密度感が高く、深く沈みこむ割に澱まずスッと引く。試聴は主にSHURE「SRH1840」との組み合わせで行ったが、聴き慣れたヘッドホンで繰り返し聞いた楽曲を再生しても新しい発見があるという点で、個人的にも高い満足感を得られた。

DSD 11.2MHzのJosep Colom「Waltz in A Minor, Op. 34, No. 2」も、再生はスムーズそのもの。MPDの設定ではDoPを選択しているが、micro iDSD BLはDSD 24.6MHzまで対応ということもあり、設定を意識する必要はなかった。

DSD over PCM(DoP)をオンにしていても、DSD 11.2MHzを再生できる

DSD 11.2MHzをDoP再生しているときのオーディオ情報画面(パソコンのWEBブラウザで確認)

Raspberry Pi/Linuxということで、そもそも再生できるのか気になる向きもあるだろうが、フォーマット対応の面で心配はない。DSD以外にもWAV、FLAC、ALACとハイレゾ音源を一通りテストしたが、いずれもスムーズな再生を確認できた。ただし、曲によっては先頭数拍が欠けてしまうこともあったため、原因を調べたいと考えている。

このように、Raspberry Piでも気軽に使える「micro iDSD BL」。PCに比べて筐体内の電磁ノイズが少ない、音楽再生に必要ないプロセスが動いていない、ローレイテンシー/ハイクオリティのサウンドシステム「ALSA」がある…などオーディオプレイヤーとしての基本条件で有利なRaspberry Piとの組み合わせは、micro iDSD BLという製品の底力を引き出すことだろう。バッテリー内蔵機だが据置利用も可能で、コンポーネントオーディオ的にも楽しめる、長く付きあえる1台だ。

(海上 忍)

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