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【特別企画】防音工事会社アコースティックラボ主催イベントを記者が取材

音がいい部屋構築のポイントは「中低音の残響時間」。試聴会「Acoustic Audio Forum」密着レポート

公開日 2017/04/14 14:05 編集部:小野佳希
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なお、念のため改めておさらいしておくと、部屋の音響を考える上では、音が響く(残響が長い)ことを「ライブ」、逆に音が響かないことは「デッド」と表現。つまり、同社ショールームは一般的な部屋よりも少しだけ音が響くように作られているわけだ。

また、イベントでは楽器演奏/収録を主用途にしたスタジオルームでもデモを実施。こちらの部屋は、イベントのメイン会場として使用したショールームに比べて若干デッドなつくりになっており、参加者からも「音楽はもちろんだが、話し声で部屋の違いを実感する」という声が挙がるなど、残響時間の違いによる音楽の聞こえ方の違いを体験することができた。

メイン会場として使ったオーディオルームの残響時間データ

スタジオルームの残響時間データ

■普通の住宅と“音がいい防音室”との違いは?

では、一般的な住宅と同社の“音がいい”防音室では残響時間にどのような違いがあるのか? そのポイントとなるのが中低音域、特に100Hz〜200Hzの響きの違いだ。

それは下記の同社による測定結果の比較で一目瞭然。一般住宅では他の帯域よりも100Hz〜200Hzの残響時間が短いのに対し、同社ショールームは逆に他帯域よりも長めになっている。

一般住宅との残響時間周波数特性の比較

こうした点について同社は「100〜200Hzの帯域は、音楽的に最も低音感を感じる帯域だが、実は部屋の構造によってその帯域が吸音されていることは、一般にあまり知られていない」と説明。さらに「現代の住宅は中空二重構造といって、床・壁・天井の背後に空気層を持った構造になっているのがほとんどだが、この構造による面材の共振で、主に低音が吸音される。それが部屋の全ての面に表れるのだから、その影響は無視できない」と説明する。

普通、残響時間というと建築音響では500Hzの帯域を指すが、実際には周波数別に評価しないと良し悪しを論ずることはできない。例えば、残響時間の周波数特性がフラットな部屋があったとする。フラットは一見するとよさそうだが、人間の耳は低音になるほど感度が悪くなることを考慮すると、一概にフラットがよいとはいえない。

このため同社ショールームは中低音域の残響時間が他帯域よりも長くなるよう設計。低音の響きを豊かにすることで、音楽全体の魅力をしっかり味わえるようにしているのだ。

鈴木氏は「防音性能を上げるには、床・壁・天井の各面を重くする必要があるが、結果的にそれが中低域の共振を抑え、豊かな低音の響きを生み出すことに繋がる」と説明。「防音工事をすると音が良くなる、と我々が考えているのは、このような理由があるためだ」と続けた。

そしてイベントでは一般住宅の防音工事施工例も紹介。このスタンスに則って低音の響きが長くなるよう工事をすることで、防音という目的だけでなく音質改善も同時に達成することができたことを紹介した。

防音工事によって低域の響きが豊かになった

また、この日のイベントには実際に同社へ依頼してオーディオルームを作ったという方も参加。「自分の部屋もこのショールームと響きの質が非常に似ている。低音域の響きにクセがない」と、同社防音工事の経験者ならではのコメントも聞くことができた。

このように、防音工事はたんなる防音だけでなく、オーディオの音質改善にも大きく寄与する。防音というと「外部に音を漏らさず大音量で音楽を聴けるように」ということだけを考えがちだが、オーディオを本当に楽しむためには、どのようなポイントに留意しながら防音工事をするのかを考えるべきだということに改めて気付かされるイベント取材となった。



なお、この「Acoustic Audio Forum」は次回が4月22日(土)に開催されることも決定。会場は同じく同社蔵前ショールームで、時間は15時から。

テーマは「防音工事をすると音がよくなる!(その2)〜戸建住宅にオーディオルームを作るには〜」。参加はもちろん無料で、公式サイトのメールフォームから申し込みを受け付けている。詳細は公式サイトで確認できる。

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