「ハイレゾ時代のHDCD」
CDでハイレゾ「MQA-CD」徹底解析! MQAエンコードあり/なし音質比較からリッピング方法まで
次に別のMQA対応DACを使用してみた。Mytek「Brooklyn DAC」だ。BrooklynはコンパクトでかつMytekらしい高音質を誇るDACだ。Brooklynで面白いのは、量子化ビット数まで本体ディスプレイに表示されること。BrooklynでMQAエンコードありの曲を再生すると、表示はMQAライトが点灯し、数値は176kHz、16bitと表示される。つまりMQAでデコードしてもビット数が拡張されて24bitになるわけではないことが分かる。
※上記について記事掲載の後、MQA Ltd.から「ボブ・スチュアート氏によると、Brooklyn DACでMQA-CDを再生した際に16bitと表示されるのはファームウェアがMQA-CD対応になっていないためで、実際には24bitになっているとのこと」という指摘があった。この点については、新たな疑問もあり、詳細を確認した上で、改めて続報をお伝えしたいと思う。
・2017/07/12追記
上記の件については、ボブ・スチュアート氏から「これは意図した結果ではなくMytekのファームウェアの問題で、Brooklyn DACでは24bitで再生されている。Mytekの最新ファームウェアでこの問題は修正されている」との回答を得た。また、Brooklyn DACまでは、24bitの情報を持ったまま16bitで伝送が行われているとのこと。実際に最新ファームウェアでは、同様の条件化において「176kHz/24bit」と表示された。詳細についてはこちらの記事で詳しく解説している。
興味深いことは、Brooklynではやはり“MQAエンコードあり”の方が良く整っていて、音質が高いのは間違いないが、Meridianよりも“MQAエンコードのあり/なし”の差は小さいと感じたことだ。
またBrooklynでは“MQAエンコードあり”の方が、“なし”に対してボリューム調整が必要なほど音量レベルが低く感じられた。MQAをエンコードする際にマスタリングもしなおしているのか、MQAデコーダの特性なのかは分からないが、やはり興味深い点だ。
このことから、DACのファームウェアによってもMQAのデコードに違いがあるのではないかと感じられる。ボブ・スチュワートは当初、PCソフトでのMQAソフトウェア・デコードに対して難色を示し、ファームウェア寄りで、ハードウェア・デコードすることにこだわっていたようだ。やはりDACのアーキテクチャとMQAデコーダーの作りこみには機種差があるのかもしれない。
3、MQA-CDをリッピングしてパソコンで再生
■MQA-CDをリッピングした場合、ソフトウェア/ハードウェア・デコードはできる?
MQAの目指すゴールが「使い勝手」と「音質」の両立であるならば、やはり普通のCDのようにMQA-CDもリッピングして、Windows PCやMacなどのパソコンでも使えることが望ましい。パソコンの上でのMQA再生は、前の項で軽く触れたようにDACで行うハードウェア・デコードの他に、ソフトウェア・デコードも使用することができる。
当初MQAはDACなどハードウェアでのみデコードが許されていたが、現在ではWindows PCやMacの音楽再生ソフトウェアでもMQAのデコードができるようになった。これをソフトウェア・デコードと呼ぶ。
TIDALストリーミングでのMQAサポートが契機となり、現在ソフトウェア・デコードに対応するのはTIDALプレーヤー(PC版。当然だがストリーミングのみ)とAudirvana Plus 3である。加えてRoonも、今後のアップデートで対応することがアナウンスされている。
本稿ではパソコン上でのMQA-CDの検証をするために、Macにリッピングで音源を取り込み、Audirvana Plus 3で再生してみた。加えて、Audirvanaの作者であるダミアン・プリッソン氏に、AudirvanaのMQA対応とソフトウェア・デコードについての話を聞いた。
■MQAのソフトウェア・デコードは96kHz・88.2kHzまでの対応
ハードウェア・デコードでは、4x(4fs)の176kHz、192kHz等のいわばフルデコードが可能だ。対してソフトウェア・デコードでは、2x(2fs)までで上限が88kHzまたは96kHzになる。これはボブ・スチュワートから、MQAは基本的にエンド・トゥ・エンドのシステムであり、4x以上のデコードにはDACの特性を知ることが必要だからという説明がなされている。
ちなみにプリッソン氏によると、MQA内部の情報にはDACのフィルタープロファイルをチューニングするためのデータも含まれているということだ。
MQA-CDをMacに取り込むためには、X Lossless Decoder(XLD)を使用してAIFFでリッピングした。
※上記について記事掲載の後、MQA Ltd.から「ボブ・スチュアート氏によると、Brooklyn DACでMQA-CDを再生した際に16bitと表示されるのはファームウェアがMQA-CD対応になっていないためで、実際には24bitになっているとのこと」という指摘があった。この点については、新たな疑問もあり、詳細を確認した上で、改めて続報をお伝えしたいと思う。
・2017/07/12追記
上記の件については、ボブ・スチュアート氏から「これは意図した結果ではなくMytekのファームウェアの問題で、Brooklyn DACでは24bitで再生されている。Mytekの最新ファームウェアでこの問題は修正されている」との回答を得た。また、Brooklyn DACまでは、24bitの情報を持ったまま16bitで伝送が行われているとのこと。実際に最新ファームウェアでは、同様の条件化において「176kHz/24bit」と表示された。詳細についてはこちらの記事で詳しく解説している。
興味深いことは、Brooklynではやはり“MQAエンコードあり”の方が良く整っていて、音質が高いのは間違いないが、Meridianよりも“MQAエンコードのあり/なし”の差は小さいと感じたことだ。
またBrooklynでは“MQAエンコードあり”の方が、“なし”に対してボリューム調整が必要なほど音量レベルが低く感じられた。MQAをエンコードする際にマスタリングもしなおしているのか、MQAデコーダの特性なのかは分からないが、やはり興味深い点だ。
このことから、DACのファームウェアによってもMQAのデコードに違いがあるのではないかと感じられる。ボブ・スチュワートは当初、PCソフトでのMQAソフトウェア・デコードに対して難色を示し、ファームウェア寄りで、ハードウェア・デコードすることにこだわっていたようだ。やはりDACのアーキテクチャとMQAデコーダーの作りこみには機種差があるのかもしれない。
3、MQA-CDをリッピングしてパソコンで再生
■MQA-CDをリッピングした場合、ソフトウェア/ハードウェア・デコードはできる?
MQAの目指すゴールが「使い勝手」と「音質」の両立であるならば、やはり普通のCDのようにMQA-CDもリッピングして、Windows PCやMacなどのパソコンでも使えることが望ましい。パソコンの上でのMQA再生は、前の項で軽く触れたようにDACで行うハードウェア・デコードの他に、ソフトウェア・デコードも使用することができる。
当初MQAはDACなどハードウェアでのみデコードが許されていたが、現在ではWindows PCやMacの音楽再生ソフトウェアでもMQAのデコードができるようになった。これをソフトウェア・デコードと呼ぶ。
TIDALストリーミングでのMQAサポートが契機となり、現在ソフトウェア・デコードに対応するのはTIDALプレーヤー(PC版。当然だがストリーミングのみ)とAudirvana Plus 3である。加えてRoonも、今後のアップデートで対応することがアナウンスされている。
本稿ではパソコン上でのMQA-CDの検証をするために、Macにリッピングで音源を取り込み、Audirvana Plus 3で再生してみた。加えて、Audirvanaの作者であるダミアン・プリッソン氏に、AudirvanaのMQA対応とソフトウェア・デコードについての話を聞いた。
■MQAのソフトウェア・デコードは96kHz・88.2kHzまでの対応
ハードウェア・デコードでは、4x(4fs)の176kHz、192kHz等のいわばフルデコードが可能だ。対してソフトウェア・デコードでは、2x(2fs)までで上限が88kHzまたは96kHzになる。これはボブ・スチュワートから、MQAは基本的にエンド・トゥ・エンドのシステムであり、4x以上のデコードにはDACの特性を知ることが必要だからという説明がなされている。
ちなみにプリッソン氏によると、MQA内部の情報にはDACのフィルタープロファイルをチューニングするためのデータも含まれているということだ。
MQA-CDをMacに取り込むためには、X Lossless Decoder(XLD)を使用してAIFFでリッピングした。
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